今、ストリートシーンにムーブメントを起こしつつある“ドリドレ走”。大会志向のマシン造りや活動に対して、良い意味でカウンターカルチャーのような流れを造り出した1人。THe★BReaSTのミネケル氏に自身のマシンやチーム、そしてドリドレについて語ってもらった。
「ドリドレって、もともと大会志向じゃない人達。言ったら、だーまん(ドリドレ走のもう一人の主催者、ますだーまん氏)がそうなんですけど。大会には行かへんけど、クルマ好き、かっこいいクルマが好き、自分の満足いくクルマが好き、でも走るのも好きっていう人の集まり」
突然はじまった対談
ミネケル氏との会話は、本来インタビュアーが質問するのだが、彼からの質問もあり、ストリートシックとの対談という思わぬ形からはじまった。
インタビュアー:ストリートシックは、基本的にはストリートのクルマ造りやライフスタイル、そこにまつわるストーリーやドラマが中心で、音楽で例えるとHIPHOP的な捉え方なんですよ。HIPHOPは、ストリートで培われていた文化が、わりとそのままの形で世界的に広まったんですね。同じくドリドレは、ストリートカルチャーが1つのムーブメントになっているので、我々もすごく興味があるんです。
ミネケル:あー!だーまんが良いお手本ですよね、サーキットオンリーユースじゃなくて、普段からストリートで乗ってて、遊びに行くのも、ドリフトするのも。それこそ僕らが10年前に乗ってたような使い方ですよね。でも、あれですよね?それって時代背景するからすると、結局ドリフト大会でデビューするって事が前提だったり…
インタビュアー:そこは、ドリフトって枠だけじゃなくて。
ミネケル:あっ、なるほど!当てはめると、僕らの後輩なんかもそうなんですけど、ユーロ、スタンス、VIPの子らはけっこう“普段使い”。たしかに普段からストリートに繰り出して、遊びに行って、飯食って、で、たまに撮影してみたいな。
インタビュアー:そうそう!地元があって、地域の特色があって、仲間がいて、クルマ造りや、色んな人物が登場して。テーマはカスタムカーであって、クルマ遊びは人それぞれ。そこがリアルで面白かったり。
ミネケル:あー、HIPHOPですね!うん。あー、なるほどなるほど。そうなってくると、うちのチームの話になるんですけど、僕らはドリフトで繋がったチームなんですけど、普段から遊ぶんですよ。でも、そこにドリ車は持ってきてないので、それも近い話ですよね。
チームとドリドレ
THe★BReaST(ブレスト)はミネケル氏が窓口と広報を行っているので、代表のようになっているが、本来ブレストのメンバーは一人ひとりが強者揃い。リーダーも明確には決まっていない。
とても面白いチームなので、詳細は後日お伝えするとして、本記事はミネケル氏のマシンを見ながら、チームとドリドレの背景についてお伝えしよう。
チームが結成されてから、ドリドレが生まれた経緯について聞いてみた。
「元々、僕はドレスアップカーも作ってて、ヘラフラッシュが流行りだした頃に、ドリ車でもできるんやって思って、そういうイベントに出しだして。そこに行ってる中で、だーまんとか、ちんさん(細ちん氏)、おしまゆとか、全国の色んなやつと会ったんですよ」
「チームができて、そっから、ほんまにちょっと後ぐらい。ヘラフラッシュというのが、流行りだしたんが5年前くらいなんで。まぁ、ほんま、そのちょっと後。僕は昔からドレスアップも好きやったから、そこに行って全国のやつと仲良くなりーの。で、スタンスネーションとか、オフセットキングスでよー顔合わせるようになったりして」
置きイベントと走行会
ドリドレの誕生については「偶然というより必然というか。まぁ、結果的にというところやと思うんすけど」と話す。
「ある日、だーまんとしゃべってて。置きイベじゃないですか?置きで会うんじゃなくて、一緒に走ろうやみたいな。そっからなんすよ。一緒に走ろうやからなんすよ。うん。だから、元々はドレスアップのドリ車で行って、置きのイベントで会って話すだけじゃなくて、ドリフトしようや、一緒に走ろうやって、そっからで。で、そんなんばっかりで集めたらオモロいんちゃうん?そんなんだけで、走行会やろうやって言い出したのが始まりなんすよ」
「で、そういう置きのイベントに、ドリ車持ってきてる子らに声かけて。置きのイベントの走行会バージョンをやってみようや!って始めたのがドリドレ。その後にチームがどう繋がってくかって言うと、まぁ、僕がイベントやりますと。で、後には仲間がおって、チームがおって。運営ってなかなかできないやないですか?だから、イベントやろうと思ってるんやけど、手伝ってくれへん?って感じで」
「なんで、ドリドレのメインスタッフっていうのが、ブレスト(兵庫)と、だーまんと後輩達がおるマインドコントロール(名古屋)。今は、この2つのチームで構成されていて、そこに久保氏(ロケットバニー仕様34スカイライン)率いる東海軍団が手伝ってくれているって感じなんですよ。で、マインドコントロールのやつらもドレスアップはしない、基本的にガチガチに走る。ブレストも基本的にはドレスアップより走る方。まぁ、その中で、ドリドレやってるんで、みんなちょっとずつ、オシャレになってきてる。うん。だからそこで、うまくミクスチャーできてきてるなって思ってます」
スペック
ドレスアップしていた頃のミリタリー仕様から、現在はレーシーな雰囲気重視の楽しくドリフト出来る。踏めるクルマというS13シルビア。その詳細は以下になる。
■エンジン
SR20DET腰下ノーマル。ヘッド周り西村エンジニアリング、マル秘加工チューニング。東名1.2ヘッドガスケット 。東名ポンカム。ニスモ555ccインジェクター。 TRUSTタービン、TD06L2-20G、ブースト1.4、パワーFC制御(西村エンジニアリング)
■吸排気
Z32エアフロ。ミネケルワークス・オリジナル砲弾マフラー
■冷却系
コーヨー銅三層ラジエター。トラストインタークーラー。
■駆動系
R33スカイライン(RB25)5Fミッション。ニスモGT-LSD、ファイナル4.3。
■外装
TRA京都6666、GTロードスペシャル。フロントバンパー、リップ、サイドステップ、古口パワー。帝王ウイング。MOZEミサイルマン、オーバーフェンダーF50㎜、R60㎜(MOZEの商品はこちらから)。CLOVERヘッドライトカバー(CLOVERの商品はこちらから)。
■内装
ブリッドジータ3、ブリッド、ブリックス。タカタ4点フルハーネス、ナルディクラシック33φ。DEFIメーター。ブリッツSBC、ブーストコントローラー。ミネケルワークス、オリジナル、レーシングヒールプレート。
■足回り
メーガンレーシング、サスペンションF8kg、R6kg。メーガンレーシング、テンションロッド。イケアフォーミュラ、タイロッド。モンナックル。VOINGオリジナル加工ECR33、純正キャリパー。VOINGオリジナル加工ECR33ローター。ミネケルワークスオリジナル、リジット、フル補強メンバー。メーガンレーシング、アッパーアーム、トーコントロールロッド、トラクションロッド。VOINGオリジナル加工、ビックローターキット。ウノーマスSPLアライメント。
■ホイール、タイヤ
RAYS、TE37V、F9J-10。R10J-20。ケンダ カイザーKR20A、F235/40/17、R245/40/17
ニューマシン
これだけでも十分、スタイルを確率しているし、そのビジュアルも良い。また、“車高が低い”という事だけが、カッコ良さを左右する要素ではないという事を再確認させてくれる車両だ。結局の所、トータルバランスが重要で、上記のパーツセレクトなどは非常に勉強になる。
しかし、本人はニューマシンを造っている最中との事。それにはこんな理由があるそうだ。
「まぁ、今のクルマ見てもらったら分かる通り、ドリドレよりどっちか言うたら、ドリフトなんですよ。今の造り込んでるクルマからしたら、全然造り込んでないんですよね。雰囲気でフワっと造っただけのクルマが、海外のメディアにフューチャーしてもらったりして。かっこいいクルマのドリ車っていう部類にしていただいたんですけど、しょうみ、エアロもバキバキやし、中も完成してない、けっこうぶつけたまんまみたいな(笑)」
「ドリドレっていうのをやってる以上、だーまんのクルマ造りの刺激が大きい。あいつの意思とかに刺激されて。さらにドリドレやってるんで、示しがつくじゃないですけど、見本になれるようなクルマ。さらにストリートユースというところをプッシュしていこうかなと。ええ部品使って、普段も乗れて、過激なシャコタンじゃない。でもクルマはかっこいい。ユーロとかスタンスとか、USDMのやつらとも一緒に遊べるようなクルマ。ストリートに遊びに乗っていけるクルマのドリ車」
「だから今回、部品チョイスとかにもこだわって。で、内装もスピーカーも全部ついてるのが条件。シートも、しっかりブリット入ってて、でもロールバーは何故か11点式バッテンクロスみたいな(笑)車高もどこも行けないベタベタじゃない。外装も社外品じゃなくて基本的には、純正エアロルックで造って」
「まぁ、最近、参加者の方がすごいクルマ多いんで(笑)提案したいんですよ、ストリートでも使えるぜ、ドリ車だぜ、でもやってる事はやってるぜ!みたいな。過度にやりすぎるチューニングじゃなく。ある意味、原点回帰かもしれないですね」
確かに本メディアでも、ますだーまん氏のクルマ造りでは多くの反響があった。彼の提案した新スタイルというのは、今後“名古屋発”として全国的に広がりを見せるかもしれない。
賛同者
ドリドレは走行会ではあるが、ひとつのジャンルとしても確立されつつあるように思う。それはドレスアップも好き、ドリフトも好きといったユーザーが、全国に一定数いて、印象値ではあるものの、ここ最近そうしたユーザーがドリドレの動きに同調し始めているように感じている。
それは、大会志向とは一線を画すカスタムユーザーが活躍できる場所、目標になっているのではないだろうか?
「そうですね、ドリドレやってる趣旨はそれもあって。やっぱり、ドレスアップやってるシャコタンの子ら、普通の走行会行ったら肩身がせまい。今、大会も敷居が高くなってきて、レベルがどんどん上がってきて、クルマも別次元になってきてしまってるし。そういうオシャレなシャコタンでドリフトって、普通の上手い人らがいる走行会に行きにくかったりするんですよ。じゃあ、そういう子らが集まれる、走る場所があったらええかなって」