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フラットノーズ、センターロック、ワイドボディ997ポルシェ

LOWJACK谷本とA.BASEの手造りボディが魅せる世界観!!スーチャ搭載、フラットノーズ997ポルシェを分析。片側90mmワイドの逆反りフェンダー、13j-30でセンターロックのインパクト

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フラットノーズ、センターロック、ワイドボディ997ポルシェ

個性が敬遠される時代である。

同じ髪型、同じ服装。記憶に残らない車に乗る事が良しなこのご時世。

ある意味、無個性がトレンドになってしまっている世の中で、カスタムシーン、ことフェンダリストではA.BASE、LOWJACK谷本氏はこれでもかとそのインパクトをシーンに投げかけた。

本日は、谷本氏のスーチャ搭載997ポルシェを分析しながら“個性”について改めて考えてみたいと思う。

巡り合わせ

谷本氏の存在を知ったのはE92のM3。これまた997と見劣りしないインパクトでレーシングラッピングにワイドボディのM3だった。

ワイドボディM3

「M3乗ってましたね。もう売っちゃったんですけど。一応、M3から乗り換える時にいくつか候補があってポルシェかアストンかAMG-GTが欲しいなと思ってて」

「次に造る車は、誰もやってへん車にしたいなって初めから思ってたんですよね。で、色々見てて。左ハンドルのマニュアルの速い車で絞ってたんですけど、最終的にポルシェがたまたま奈良にあったんですよ」

谷本氏の車造りは魅せるだけでなく、サーキットを走る事が根底にある。どちらも両成敗といったスタイルだ。

「正直、めちゃくちゃ安かったんですよね。今の相場を考えたらとんでもない値段で。相場より100万も安くて。最初は怖くて行かなかったんですよね。でも近いし一応見に行ったんですよ」

「失礼なんですけど、これってどういう流れで買いはったんですか?って聞いてみたら、きっとこれは儲かるはずやと思って買ったら、価格設定を安くしすぎて、たぶん、怪しんで誰も来なかったって事らしいんです(笑)。それで、あと1週間だけ店舗に置いて売れんかったら、どんだけ損しても業者オークションにもう一回投げようって思ってたところを僕がたまたま来て(笑)」

実際にお店が購入した際の書類を見せてもらったそうだ。稀なケースだと思うが、好きな車との出会いは意外と巡り合わせを感じるものだったりする。

「カレラ4Sの左のマニュアルって言ったら、今だと800万台とかがだいたい相場になっていて、もう多分900超えるんかなって言われてるんで。買った距離とかも4万2000キロとかやったんで、とんでもない車を見つけてもうたなと思って。これはもう買おうって(笑)」

誤解、印象

断っておきたいのだが、いわゆる“置き”のイベントに展示している車が魅せるだけと勘違いする人もいるのだが、サーキットを走っている人もいればドリドレ車両もいれば、魅せるだけに振っている人もいる。

そこに何ら優劣も存在しない。ただ、千差万別という話。ことフェンダリスト、FIXWELLにおいては、そうした走る車の美しさを伝える事も一つの趣旨としている。

谷本氏の997も足元を見れば、そうしたマインドが垣間見れる。

「僕は一応、300キロは出せないと、ちょっとポルシェとしてあれやなっていう想いがあったんで。車高もそれが実現できるギリギリかなっていう感じです。なんで、腹下見てもらえれば分かると思うんですけど車高も実際は高いです」

元々はランエボ乗りだったらしく、名阪で転がった経験もある。そんな谷本氏が走って魅せる車を造るようになったのは、ちょっとした出会いから始まる。

「E92の335に乗ってる時に、今はもう降りはったんですけど、浜松にグレーのLiberty WalkのM3を乗ってた人がいるんですね。その人の車を見た時に、めっちゃカッコいいと思って、自分もこれをやりたいなって思ったんですよね」

「僕、その時はカスタムカーに興味があったわけじゃないんですよ。ただ、スポーツカーが好きだっただけで。それで、知り合いから紹介してもらった車屋さんに行ったら、いや、谷本くん、それやるんやったら、もうM3買おうって言われて(笑)」

話を聞いていると、どうやらこうした出会いがきっかけで走るだけでなく、魅せる車造りにも興味を持つようになる。また、この時期にA.BASE(アシルベース)のアシル氏との出会いもあったようだ。

オマージュ

この車を見ると、レース好きで勘の良い人なら、どことなくクレーマーレーシングの面影が見えるだろう。

谷本氏は、997との出会いに自身の好きなレーシングカーの要素を取り入れ、自分だけの理想の姿を実現するためワンオフボディという選択をした。

「これもA.BASEのアシルさんに頼んだんですけど。半年前くらいから予約しておいて預けたんですけど。前に乗ってたM3の時は作っていく段階で、ここはもうちょっとこうとか途中で色々迷って。やっぱりこっちにしますとかって、すごい迷惑かけて。今回はもうバシッと初めから決めてやったんで、割と完成まで早かったんですけど、それでもイベント前日に出来上がりましたね(笑)」

フラットノーズ、センターロック、ワイドボディ997ポルシェ

補足したいのだが、よくお金を出せば良い物が手に入ると勘違いしている人がいるが、決してイコールではない。そこがカスタムの面白い所でもあるのだが、今回のケースはオーナーのこだわりとショップのタッグが勝ち取った結果だ。

特権

外装をフロントから見ると、所見では車種不明感があるのだが、それは決して心地の悪い違和感ではなく、これは何か?どうなってるのか?知りたいという好奇心。

色は991GT3-RSのラバオレンジ。フラットノーズなスタイルはバンパーのランプ部分をはじめ、ワンオフならではの形状をしている。

ランプ部分はMarshallの180φのヘッドライト埋め込み。フェンダーは片側90mmのワイド化。リアはドア後方から張り出したGT風な造形。そして後方に伸びた大型ウイング。

手法で言うと、いわゆる足し算なのだが、足し算の失敗で見られる乱雑さや迷いといった物は見られず、オーナーのコンセプトを探りながら何度も997を見返してしまう。

これが足し算の魅力だ。見る人の視線を奪ってしまう力強さがある。また、唯一無二ゆえ、世界でたった一台という、その人にしか乗れない特権を持てる。

注意しなければいけないのは、凄いとか奇抜と言われて終わりではなくカッコいいと言わせないといけないのだが、それこそセンスだろう。

ディティール

掘り下げると、まずはこの車の象徴的な大型ウイング。

フラットノーズ、センターロック、ワイドボディ997ポルシェ

「本来は964と空冷のポルシェを935風にしたい人のためのウイングっていうのが、bodyworks-dbさんっていう所で制作されてて。このウイングをつけて富士スピードウェイを300キロ出しても大丈夫っていうウイングって事だったんで、これを何とか付けたいと思って。で、A.BASEに無理言ってトランク一体型にしてもらった感じです」

サーキットを走る事を前提としているので、強度確保も必要なため苦労した部分だったそうだ。

他にもこのシルエットを表現するにあたって作業上の苦労もあった。

「造ってもらったんで、一番アシルさんが大変やったと思うんですけど、ヘッドライト周りと、あと後ろから見てもらうと分かるんですけど、フェンダーが少し反ってるのが分かります?」

「これがクレーマーレーシングの935だと、もっと反ってるんですけど。それをちょっとだけ、最後のフィニッシュだけ、反ってもらうようにお願いしたら、それが大変だったらしくて」

リアから見るとフェンダーが端に向かって上に反っているのが分かる。フェンダリストならご存知かと思うが、これがいわゆるフェンダーの“逆反り”。

フェンダリストカタログでも紹介されているが、A.BASEは手造りのボディメイクを得意としている。手作業でこのラインを造るのは相当大変だ。この苦労が伝わらない方はぜひ一度パテ盛りや削りを経験してみると良いだろう。

こんなに大変なのと気が遠くなるかもしれない。

フェンダーの造形を追っていけば逆反りだけでなく、プレスラインやエッジの仕上げにこだわりが見られる。

味付けとしては大味だが、細部にもこだわりがある。つまり全体バランスとして“強弱”があるというのは非常に大切。このポイントは覚えておいて欲しい。

足元

車高調はBCレーシングをベースにした特注品。魅せると走るというコンセプトにBCの車高調がマッチした。

「フェンダーは何cmって決めてアーチ上げたっていう感じじゃなくて、車高調を下げて、それに合わせたアーチ上げするっていう感じでした」

ホイールはBCフォージドの1ピース、TD02。リアのサイズは13j-30と極太だ。

「ワンピースでこのオフセット作ってくれる所って探してもなくて。聞いた所だと、ポルシェのPCD130のやつは作ったことないから、ちょっと、んーみたいな感じで。で、BCだけがワンピースで13j-30までやったら作ってあげるっていう事やったんで、じゃあフェンダーの出幅もそれに合わせて決めようって」

センターロックについては、足回りを移植した訳ではなく変換スペーサーさえ外せば通常の5穴ホイールも履ける仕様になっている。これは利用用途を考えると良い選択だと思う。

「初めは足回りもごっそり変えようかなと思ってたんですけど、BCフォージドだとオフセットも攻められるし、センターロックになる専用変換スペーサーみたいなのを出してるし。で、やってみたいなって思って」

「サイズはフロントが19×11j-17、リアが19×13j-30です。タイヤはフロントが285/30、リアが325/30です。パイロットスポーツのカップ2ですね、もうすぐネオバに325/30のサイズが出たんで履きたいなと思ってます」

ホイールや車高調などの足元については金沢のTHX&CO(サンクスアンドコー)にお世話になったそうだ。

ブレーキについても中途半端にブレーキを変えるより、純正のBremboが良いのでそのままの方が良いといったアドバイスも受けている。

アーム類については不満はないようで、キャンバーは起こしている。トータルバランスを考慮した選択である。

スーパーチャージャー

この997だがボディメイクだけでなく、中身もコンセプトを追求しており後付でスーパーチャージャーを載せている。

「ボーテックのV2っていうスーパーチャージャーで、海外だと割と付けてる人いるんですけど、2、300万くらいでキットが売ってるみたいです。日本で自分のまわりに付けてる人はいないですね。レーシングカーとか詳しい人は、ボーテックね、みたいな感じなんですけど」

このスーパーチャージャーのKITだが150馬力も上がるそうで、予測値で470馬力になっているそうだがバランス的にどうなのか、想像するとじゃじゃ馬になりそうだが。

「これ、4WDなんで。今自分が走った感じ安定してるし、ポルシェは2WDだろうって言われるんですけど。僕は一応どっちも乗ったんですけど。まあ、昔のレーシングカーでも4WDがありますし、GT3とかGT3RSも4WDの時代もあったわけやし、そのへんはあんまり気にしてなくて。自分はそんな運転上手いわけじゃないし、まあ、4WDで速い車めちゃ楽しいなって思いながら乗ってます今」

現状はCPUのセッティングが不調だが、今後はゆっくりと煮詰めていきたいそうだ。

フラットノーズ、センターロック、ワイドボディ997ポルシェ

「一応ここまでやるのに、そこそこお金も使って。まだここからもやりたいことはいっぱいあるんですけど、去年イベントに出して、ちゃんと成果を得たんで、まぁ、あとはちょっとぼちぼちやっていこうかなと思ってます」

昨年開催されたイベントでは数々のアワードを獲得した。これからの計画も聞かせてもらったが、実現すれば注目を集めそうだ。

LOWJACK

車あそびをする人に伝えたい事があるのだが、車は造って終わりではない。勿論、造る事だけに楽しみを見出している方もいると思うが、造った車をどうするのかで車あそびの満足度は大きく変わる。

それはイベント、ミーティング、走行会、レースへの参加、チームの活動などがある。そこには、SNSだけでは味わえない楽しさがあり、得る物も大きい。

「雷電ってチームにいたんですけど、解散になったし、なんかチームでもやらん?っていうちょっと軽いノリから始めて、ミレニアムジェイドに全塗装してる35GTRの同級生とかピンクのFRSやったりとか、青色の46のM3やったりとか、黒の34Zやったりとか集まって」

「自分の中では雷電が一番カッコよかったんですけど。自分がリーダーになって、またカッコいいチーム作りたいなって思って。で、それがLOWJACKで。ハチマキを貼ってるチームってなかなかなかったんで、俺らはハチマキにしようっていう感じで」

チーム員はA.BASE繋がりで、三重と愛知在住。

「自分の中のチームって、いつでもすぐに集まれるメンバーじゃないと嫌で、遠方だとちょっとかわいそうっていうのもあるし。今現在は三重と愛知しかいてないですね」

活動

日本、それも近場で構成されたチームは何らかの活動基盤を持っている事が多く、息が長い傾向にあり車もチームならではといった特徴があったりする。

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LOWJACKはチームでのイベント参加や、自分達で集まりなども行っているそうだ。行動していくと、その次の展開や、やりたい事なんかは自然に話に出てくるものだ。

「ちょっと前に伊賀のコモンスナッパーっていうショップがあるんですけど、1階が車屋さんで、2階がバーみたいな感じで、ホットドッグとかお酒とかを出してるんですけど、そこで招待制で60人くらいだけ。自分たちが来てほしいなと思った人を呼んでイベントやったんですけど。まぁ、すごい楽しかったって言ってもらって。またやりたいなって思ってますね」

「もうちょっとメンバーが増えれば、海外にも売り込みたいなって思ってて、海外の雑誌とかに載りたいよなとか、チームで取り扱ってくれる所があったら、是非ちょっと売り込んでチームで取材してほしいよねっていう話はしてますね」

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昨今、人間関係に疲れて繋がりを持たない人が増えているが、気の合わないやつとは距離をおけばいいし、それこそ自分の気の合うやつを集めてチームを作れば良い。あまり他人の目や意見を気にしていると自分が損をするだけだ。

何もせず家でスマホばかりを見てるよりは、仕事なり趣味なりに没頭した方が人生は豊かになるはずだ。

ワンオフの魅力

昔に比べると全身ワンオフのボディメイクは少なくなったが、流行は巡るもので見直される時期は来るだろう。

なにせ形になった時のインパクトはものすごい。ワンオフの魅力は本人の理想を手に入れる事ができるという点が大きいが、それだけでなく、それを見た人達の記憶にも鮮明に残る。そこが個性あるワンオフの強みでもある。

「僕、昔からやっぱり人と変わっていることが好きだったし、特別感なことが好きだったんですよね」

「今ってフェンダリストとかもできて、フェンダーを触っている車が増えてきた中で、既製品のフェンダーで個性を出すって考えたら、どこで出せばいいんやろ?って思ってしまうとこがあって」

「で、海外のボディキットなんか買ったら、もう500、600万するような所を自分の思うように作ってもらって安くで抑えれるっていう所にも魅力を感じるし。前の車を売った時も次の車も絶対にワンオフでフェンダー作るって初めから決めてたんで」

人と被るのが好きではないという事だが、確かに997を見ればそうした意図が伝わってくる。

「基本的にはワンオフ品か、なかなか手に入らないものだったりとか、ちょっと高価なものだったりとかっていう、あんまり人と同じ部品は付けたくないなっていうところで」

「バケットなんかも、これプロレーサーって言われてたんですけど、オークションとかで見てたら1脚50万とか60万とかするシートで。知り合いのドリフトとかやってるお父さんから売ってもらったりして」

「もう優越感だと思います。自分だけっていう特別感で。自分が気持ちよくなってるのもあると思います」

自己表現

ここまで貫いてくる谷本氏の話は面白い。きっと色んな車を見たり歴史も勉強しているのだろう。その上で自分ならこうだという自己表現を形にしている。

車造りは本人のイズムが投影される。ただ、なんとなく進めていくとそれなりの物が出来上がるし、本人が迷っていると車もまた迷う。

懐古主義にはなりたくないのだが、90年代はもっと自己表現に貪欲だったはずだ。

おかしな事にカスタムについては「マナーに沿ってカスタムをして欲しい」と思う反面、小さくまとまらず自己表現して欲しいとも思う。

自分がコレだと思う事、カッコいいと思う事をもっと貫いて形にして欲しい。自分がトレンドを造る。自分が憧れの存在になるといったマインドを持って進んでほしいと思う。

そうする事で誰かの道標になるだろう。

今はクリーンなカスタムが主流だが、個性を表現したオンリーワンなカスタムにも目を向けるべきた。

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「やっぱり、世界に一台の車を自分で造れたなっていう気持ちになったし、それでアワードももらえたっていうのは自分的にはめちゃくちゃ嬉しい出来事で。で、協力してくれた人もやっぱり喜んでくれたし」

「みんなそうだと思いますけど、そういうのを一度味わうと取り憑かれちゃうと思います」

Written by: Maruyama
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