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NSX、E-NA1、カスタムのお手本マシン、NOS、Cノッチ、シフトノブは仕事道具

[PART1] 至高のスラムドNSX!!全てのカスタムフリークに贈る、カスタムの教科書!!そのアイデア、イズムはジャンルを超越する!?NOS、Cノッチ、シフトノブは仕事道具、もはや異次元の唐木マシン

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とにかく、そのすべてに感服してしまった。

これほど、ディティールまでこだわりとアイデアを実現しているマシンは日本でも数少ないのではないだろうか?また、オーナーのクルマに対する姿勢や愛情は類を見ない。

出会えた事に感謝すら覚えた。

NSX

ベースこそ91年式、3L、E-NA1のNSX。されど、全貌を知ると恐ろしいほど完成度が高い為、純正に見えてしまう事が分かるだろう。

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「アピールポイントは少ないんですよ、USパーツはテールランプだけですし。サイドマーカーとかも付けたかったんですけど、シンプルにする為に、色んな所シェイブしちゃってるんで。そこらへんもUSDMで言うと、あったほうがいいと思うんですけどね」

午前4時、まだ日も明けない頃に、唐木さんはこんな話を始めてくれた。

生足からエアサスへ

エアサスといえど、通常ここまでは下がらない。

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昨今、アラゴスタカップを入れてる車両を見る機会が増えてきたが、この車高はどうなっているのだろうか?

「完全に車高調ベースで、ケースを詰めてます。で、当時走ってたバネレートで走れるように?一応、車高を下げた状態でも走れるように、車高調と、エアーの空気圧のバランスをセッティングしました。自分でやりましたね」

“プシュー”というエアーの音に混じりながら説明をしてくれる。着地しそうだ。

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「前は生足でこれくらいです。その時は車高調ですね。はい。車高調も加工して下げて。で、あるイベントで、ベストスタティックっていうアワードをいただけたんで。生足ですと会場にもなかなか入れないので、この際と思ってエアー組んだんですが、生足の時の足を加工して、さらにエアー組んでるんです」

ショーカーとして活躍し続けて、さらなる高みを目指す為、生足に限界を感じエアーを組む運びとなるが、思い入れがあった生足を加工。ベースは従来の生足でありながら、そこにエアーを組み込んでいる。

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たしかに、フルタップでもエアーでもここまで下げるには吊るしでは難しいだろう。

「エアーに逃げたと思われるのもね、あれなんで(笑)」

と笑顔で話してくれたが、相当な工夫と労力がいる作業だろう。

コンセプト

「コンセプトは西海岸で、白人が乗ってるイメージですかね。ようは、ミニトラックをコテンパンにいじってある足代わりのクルマ。ミニトラックってこういう技法?MTスタイルで、スムージングちょこちょこやったりする感じですか」

「これは、USDMでもないかもしれないですね。今は自分の好きな方向性っていうのでシンプルにして。まぁ一応、北米は意識してるんですけど、現地でリアルに乗ってる感じって言うんですか?」

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「例えば、カルフォルニアあたりで乗ってて、右ハンドルだったらウケるかなって想像して。それで、スポーツカーには入れないような、ホイールとステアリングは、ビレット入れて」

唐木さんのクルマ造りは、様々なジャンルや経験をクルマで表現しているようだ。実際、イベントや海外に行っては、そこで得た物を表現していてイメージを大切にしている。

NSXを見て、その説明を聞くと頭にすっと入ってくるのは、その為だろう。そして様々なジャンルという枠をクロスオーバーしている。

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バンパー周り

主観的かもしれないが、どのような業界でもスペシャリストでフォロワーからの支持がある人物は、往々にして低姿勢の方が多い。

それは、達観からくる他者へのリスペクトか、あまり否定という物を聞かない。いい加減に見えて、その実、計算高い。

「ビレットグリルですか?これは鍛造じゃないかもしれないかもしれないです。純正のやつなんで。まったく違うクルマのですよ。板金屋なんで、今ある物で造っちゃいます」

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「ダクトのLEDは専用じゃないです。まったく車種は分からないんですけど、サイズは偶然です。何となくインスピレーションで(笑)前周りを全部埋めちゃったら、さっぱりしすぎちゃったんで。あまり今っぽいのは取り入れないで、あえて当時風に仕上げてるけど、その年代にないLEDになってる感じですね」

フロントバンパー自体は、02R(後期の固定ライト)とNA1(前期のリトラクト)のニコイチをベースに製作されている。上部は前期、下部は後期でリップは輸入したdownforce。

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リトラクトのシャープさと、固定ライトの丸み、厚みを持っており、前期後期の美味しい所取りをして、全く別物の顔に仕上げているのだが、ワンオフとは思えない自然な装い。

もちろん純正のプレスラインを活用しているかと思うが、そのラインを追っていくと、非常に洗練されているのが分かる。

パテでプレスラインを造った方なら分かると思うが、極めて繊細な作業で、色がのってない状態では想像力と技術が必要な作業だ。

唐木さんのボディメイクは、CADを使っているのじゃないかと思うほど美しい。

ビレットのあしらい

90年代には、国産メーカーからアメリカンビレットなパッケージのクルマが発売されていたが、ビレットという言葉自体、クルマ造りにおいては幅広い意味を持っているように思う。

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例えば、グリルを想像する人や鍛造ホイール。唐木さんの扱うビレットは、ミニトラックからの流れかと思っていたが、どうやら理にかなったセレクトでもあるそうだ。

スムージング

「スムージングはミニトラックの流れなんですけど、自分の中で、このクルマは薄く長く広く見せたかったんです。そうすると、ウォッシャーノズルも位置的にセンターで割ってしまう。この短いフェンダーにウインカーが付く。対象物が付く事によって、そこで目線が詰まってしまうんですよね」

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「こんな風にやってるのは、ボディの平べったさを活かしたいんですね。素材を考えるとスムージングが似合うし、ちょっとした穴を埋めるとボディラインが栄える。そうすると、ホイールのチョイスが難しくて、色々試したんですけど、行き着いた先が、USの鍛造ホイールになったんです」

こうして、必然的にビレットを入れていく事になる。

ボディに関しては、ほとんどフルシェイブと呼んでいいだろう。残されているのはミラーくらいだろうか。

ウォッシャーノズルから、アンテナ、キーホールまで妥協せずスムージングしている。

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”北米では、日本と灯火類が異なるから”という理由でシェイブしたりするのは、日本における特定ジャンルのセオリーだったりするが、クルマの素材を活かし美しくする為という理由を聞いて、唐木さんの目線は常に素材にフォーカスされているという事が分かる。

サイド

サイドスカート、ドアパネルは、フロントリップと同じくUSのdownforce。

ミラーには、メルセデスのミラーウインカーを埋め込んで、完全にフィットするように、純正のミラーにラインを造っている。

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この車両のチリ具合を聞くのは野暮な行為だ。エアロの隙間は当然、プロテクターモールで埋められているし、ワンオフ物であっても、妥協せず純正クオリティまで仕上げているのが写真からも見て取れるのではないだろうか?

名乗らないスタンス

唐木さんは、これだけのスキルとキャリアがありながら、自身のショップの名前をあまり出さず、基本的に宣伝はほとんどしないそうだ。

「自分が好きなんですよ、やっぱりこういうのやってみたくて。自分のできる範囲ですけど」

商売気がないと言うわけではなく、カスタムが本当に好きで、自身のアイデンティティとなっている事に仕事を持ち込みたくないといった所だろうか?

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「でも、お客さんが僕のクルマにこれできませんか?って言われたらやりますし。ここまでやらないと駄目だよっていうのが、うちはないので。このクルマも少なからず、お金かければイイ物ができる訳じゃないっていうのは見せてるつもりなんですよ」

「まぁ、こだわる所はこだわるんですけど、例えば中古部品持ってきて、これに付きますかとか。自分のがそういう風に造ってて、職業柄、色んな物が手に入るので、日々アイデアと言いますか、そうすると同じものはできないと思うんです。流用っていうかアイデアですね。1つ1つ高い部品を付けてると、やっぱりお客さんも付いていくの大変じゃないですか?」

ストリートシックもお題目として上げている「お金かければイイ物ができる訳じゃない」というキーワードが出てきて共感できる話だ。

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唐木さんに会いたい人は、一度お店に行ってみるといいかもしれない(Auto salon Karaki TEL:0434450358)。

リア

リア周りも純正に見えて、内容はとんでもない事になっている。

まず、R32のリバースランプをナンバー脇に流用。

「元々NSXってテールが横長で、ど真ん中付近に寄った感じで、バックランプがクリアになってるんですね。だから、アイポイント下げる為に、テールは全部真っ赤にしてバックランプを下(ナンバー横)にする事によって、クリアランプが下の方で光るので、目線が下がって、低く見えるようになってます」

加えてテールは殻割りして、網目状になっていたテールレンズのレンズカットを当時からあったような雰囲気で横線にする為、板を入れてモディファイしている。

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聞かないとまったく分からないが、確かにレンズカットが横線になっていて、そのアイデアと表現力には脱帽してしまった。

マフラー

マフラー周辺に目を向けると、両脇には、ワンオフしたというリアサイドのアンダースポイラー。中央には、02Rのリアアンダースポイラー。そしてマフラー上部にはワンオフしたパネル。

「マフラーの切り欠きが、元々シングル出しの造りなので、デュアルにしてます。で、サイドアンダースポイラーを付けることによって、マフラーの位置が上がって見えてしまうんで、マフラーの位置を下げようと思ったんですけど、元あった位置と隙間ができるので、パネルを造ってその隙間を埋めてます。リアアンダーに被さるような感じですね」

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本来、クルマのパーツは一つ一つ相関関係で成り立っている。一つモディファイすると、何かしらバランスを崩す結果になる事も多い。

そういった事を考えれば、唐木さんの行うカスタムは至ってナチュラルであるが、その表現力やパフォーマンスはなかなか真似できないだろう。

キャリパー

「社外のビッグローターに、キャリパーをオフセットさせてます。オフセットさせるブラケットあるんですよ。キャリパーは鋳物なので、表面全部削ってツルツルにして塗ってます。ホイールを引き立たせる為の差し色みたいな感じで。派手な色を入れないで、ブラウン系の色を入れて。ACURAって文字はステッカー造ってもらって」

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「エアバルブのクリアランスがちょっとヤバイんですよ。見えない様に中に付けるようにオーダーしたんです。全部オーダーできるんで。極端に言うと、裏側にする事もできるんですけど、エアー入れにくいんで。だけど、こうしとけば掃除もしやすいと思って。ただ、キャリパーとのクリアランスがヤバイんですよね」

アメ鍛でバルブを内側に設置している車両は、何度か見た事があるが、全身シェイブされたこの車両には特によく似合う。

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スラムド

「中に入ってる感じっていうんですか。こういうビレットの鍛造ホイールだと、スタンス系みたく出してると、このクルマには雰囲気的に合わないのかなっていうのがあって、自分は飲ませてる方が好きなんですよね」

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「それは、やっぱりミニトラックなスタイルなんですよね。いわゆる、ぶっかぶりですね。その、セオリーというのは分からないですけど、自分は落として飲ませたかったので、前後異径にしてて。ミニトラックもやるんですけど、これはフロントが薄くてスペースがないという理由もあって、18の19インチにしてます」

ホイールはBUDNIK CHISELで、フロント18×9J、リア19×10J。タイヤはナンカンNS2で、フロント205/35、リア225/35。

リアはナチュラルキャンバーで、スラムド状態になっている。

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「4独なんで。4輪独立なんで、ダブルウィッシュボーンでも車高下げれば自然についてきますよね。インナー側は切ったり色んな事してますね。フロントも削れるところは削れるだけ削って」

この状態で走ってもで干渉しないそうだ。もちろん、着地するくらい下げると怪しいようだが、いったい、どれだけ時間を費やしたのだろうか。

Cノッチ加工

アーム類は当然、逃げ加工されているらしいが、この車高を実現する為にノッチ加工もされているようだ。

「トラッキンの技法なんですけど、アームがぶつかる所?フレームを加工したりして。ようはアームロックしちゃって、それ以上下がらないんで、アームがぶつかる場所のフレームを加工して、もうちょっと下がるようにして」

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「NSXは、ロアアームの内側がフレームに当たるんですよ。ボールジョイントから、こうバンザイするじゃないですか?そうすると、フレームに当たっちゃうんで、当たる所を加工してます」

Cノッチは元々、下げるとドライブシャフトが当たるのを回避するような加工がメジャーで、そこから派生したようだが、いわゆるチャネリングの簡易版と認識すれば分かりやすいかも知れない。

NSXは、ロアアームの干渉を防ぐ為の逃げ加工しているそうで、Cノッチ加工に該当するだろう。

車両によっては、デフケースの干渉回避など、車種によって加工ポイントは異なってくる。

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PART2はエンジンルーム、NOSシステムの費用、ワンオフのトランクなど、唐木イズムとそのカスタムの全貌を見てほしいと思う。

Written by: Maruyama
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