カスタムカー、チューニングカー総合マガジンのストリートシック

" From the streets of Japan " 
STREETCHIC provides information about car customization and tuning that takes place on the streets of Japan.
エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

クラシックポルシェにエアサスという選択。高騰する964をぶっ被りスラムド!!エアサスの費用からメリット・デメリット。ショーカーに必須な作業とは。2階建てトランク?NEWブランドホイールの詳細他

STREETCHIC > STORY > FENDERIST > クラシックポルシェにエアサスという選択。高騰する964をぶっ被りスラムド!!エアサスの費用からメリット・デメリット。ショーカーに必須な作業とは。2階建てトランク?NEWブランドホイールの詳細他
エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

MOONTECH田口氏ことタグティー所有の964。

“空冷にエアサスなんて”と思う人もいるかもしれない。歴史があり、走りの伝統としてのイメージも強い空冷。でも、そう思った人も最近は気になるであろうエアサス。

本記事ではクラシックカーやコレクションカーの所有者、あるいはこれから所有者になろうとしている方々に提案してみたいと思う。

カスタムするとすれば車高調が全てなのか?エアサスの費用は?メンテナンスは?メリット、デメリットは?

964の詳細を交えながらレクチャーしてもらおう。

概要

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

「ポルシェの詳細から説明すると、型は964のカレラ2。ようは二駆っていうことですね。その他にもカレラ4っていうのがあります。人気なのはカレラ2かな。で、この車両はカレラ2になります」

初見はとにかく綺麗。室内のレザーは使用感があるものの、それ以外は“やれた所”が見つからない。空冷ポルシェはコンディションの良い状態で所有しているオーナーが多いのも確かだが、入手した時はどうだったのだろうか?

「状態は、エンジンはちょっとオイル漏れがすごかったんで、フルオーバーホールをやってエンジンリフレッシュ。距離は5万キロなので、内外装は極上な車です」

「で、まあ、人気なのはマニュアルなんですけど、ポルシェのマニュアルは他に所有してるんで、今回はオートマを選んでて。オートマだと近い距離でも遠い距離でも気軽に乗れるんで。気持ち的にも。あえてのオートマ。ティプトロニックを選択しています」

空冷はマニュアルしか認めないと言われた事があるが、不具合が起きなければティプトロニックでも、むしろコレクションカーとして最適かもしれない。

クリーンナップ

入手後にメンテを行い、そのままの状態で保管しとこうと考えるも、やはりそこはMOONTECHタグティー。簡易なつもりがフルカスタムに至る。

まず、外装から説明してもらう。

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

「ボディカラーはこれ、純正のアマゾングリーンっていう色ですね。で、ルーフのフロントスポイラー」

「それ以外に外装で言うと、フロントのコーナーランプをクリアレンズにしてます。で、ヘッドライトも、いわゆるルーフレンズ。本当は空冷のポルシェって、目が丸くなって出ているんですけど、これは上から見た時に比較的真っ直ぐになるようなレンズを付けてます」

「で、もう一つは、フォグランプの位置にいわゆるカップダクト。カップカーのポルシェに付いてるダクトをフォグランプの所に付けてて」

空冷のポルシェは本当に不思議なもので、例えばバイナルでレーシングカーをオマージュしても似合うし、エアロを巻いても似合うし、ストックでもいける。どんな“オーナー色”も演出してくれる。現代車にはない魅力を持つ車。

964のカスタムは純正の延長線といった感じだ。

「これは引き算の美学ですね。ちょっとだけレーシーな感じも入れつつ。色を消してるって感じですかね」

「もともとオレンジなんですよ。コーナーランプが。それをクリアにして。元々は前から見たときに、コーナーランプとフォグランプが目立つんでヘッドライトだけが目立つように、コーナーランプはクリア化して、フォグランプは消してダクトにしてる」

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

主張の強い箇所を引きながらもダクトでアクセントを追加。RUF製の社外パーツを使うも本車両を知らない人は言われないと気が付かない仕上がりになっている。

引き算のカスタムをしたいという方は、純正といえど目立つ所を消すという感覚を覚えておくと良いだろう。

2階建てのトランク

室内もストックの良さを活かすため、過度に手を入れない選択をしている。とはいえ、そこにはタグティー流イズムが入る。

「室内はほぼ純正です。レナウン製のハンドルを、もともと黒レザーだったのを内張りに合わせて、キャラメルっぽいベージュっぽい色で貼り直したぐらいで」

「あとオーディオが、FOCALオーディオ。普段でも楽しく乗れるようにちょっと高性能なオーディオが組んであります。オートマのポルシェっていうところで どちらかというと走りを楽しみながらも優雅に気持ちよく?ゆっくり走っても楽しめるっていうのをコンセプトにしてて飛ばさなくても楽しい車」

3.6Lフラットシックスはオートマといえどトルクを感じる事ができ、ちょっとお買い物に出かけるだけでもご機嫌になれる車だ。

「これがアンプとプロセッサーですね。その下にエアサスのタンクとコンプレッサーが入ってます。2階建てになっていて、2階はアンプ類で1階はエアサス類。ちょっとここで外すの大変なんでこの状態で見てもらって(笑)」

これは面白いし実用的なアイデアだと思う。コンセプト通りトランクを犠牲にせず、荷物も積めるし魅せる事もできて一石二鳥だ。

1階にはエアサスのタンク1本とコンプレッサーが格納されている。

「で、あとは、このPCCMっていう1DINのデッキ。中にAppleカープレイの機能が付いているオーディオで。ポルシェ社が空冷ポルシェに向けてクラシックカーを大切にしようって意味も込めて2、3年前に純正で出したやつです」

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

このPCCMだが、空冷ポルシェの雰囲気を壊す事なくクラシックなデザインながら小さなモニターには最新のテクノロジーが見れるという一品。

「たしか25万くらいしたかな。バックカメラも付いてます。で、この車はエアコンもすべてフルリフレッシュしてるんでエアコンもガンガン効くし。で、ワンオフのステンマフラーが入ってるんですけど、ちょっと車がうるさいなと思ったらマフラーもバルブ式が付いてるんで消音も手軽にできるし。まあ、33年前の車だけど現行の車並みの装備っていう車ですね」

メリット

「昔は安かったんだけどなぁ」という964も今では1000万超え。高騰するクラシックポルシェをこんなにしちゃってと思うかもしれないが、タグティーいわく“大切にしたいならむしろエアサス”。

「どこでも行けるっていうのと、乗り心地もいいし。上げるとコンビニも余裕で入れちゃうし。ドライブできる行動範囲が広がる。今まで行けなかった所も行ける。それがまず第一の理由ですね」

「ローダウンしてバンパー傷つけたり、腹下傷つけたりっていうダメージが、エアサスで回避できるのは大きいです」

勿論、これは下げる量にもよるし状況にもよる。エアサスを入れたとて、これくらいなら行けるだろうとバンパーを擦るヒューマンエラーは起こりえる。ただ、車高を上げる事ができるというのは非常に大きいメリット。

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

また、エアサスを入れると色々なフィットメントで足元のスタイリングを遊べるのもメリットと言えるだろう。

フィットメントの種類

964のインストール

では、メリットを把握しながら、964のこのスタイルを実現するにはどのような工程が必要なのか追っていきたい。エアサスをポンと入れただけで実現するのだろうか?

「エアサスは、うちのPloomサスペンションのエアサスが入ってて。マネジメントはAirLiftのマネジメントです」

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

詳細を聞くとPloomのエアサスを入れただけでも下がるには下がるが、ここまで下げるとなると必要な作業が出てくるそうだ。となると、普段乗りを考えた時に下げた分、今度は上げ幅も気にしないといけないだろう。

実際どの程度ストロークするのだろうか。

「964は特別ショートな足回りにしないと落ちないんですけど。ショート加工ではなく、ショートストロークのサスを入れて、8センチぐらい上下幅がありますね」

実際に全上げと全下げをしてもらうと、けっこうな上下幅だと感じる。これだけ上げ幅を確保できれば十分普段使いができるだろう。

「エアサスのバックは、フロントは少しスリムじゃないといけないんで、スリムなバックになってますね。リアは通常のタイプ」

バックのサイズについては機能的にはエアーの入る量が変わる。またショートストロークのサスにスリムタイプのバックだと、通常のサスに通常のバックという組み合わせと比較すると、充填できるエアー量が少なくなるため、車高が上がらなくなる可能性もある。

このあたりはノウハウがないと難しい判断だ。

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

加えて、964に関しては下げていった時にフロントのロアアームをフレームに当たらないように逃げ加工もしているそうだ。リアに関しては無加工でも落ちるとの事。

「エアサスをポン付けでも落ちますけど、自分はやっぱりガッツリ車高が落ちるのが好きなんで」

この腹下着地を実現するにはエアサスなりの工夫や加工が必要という事だ。

重要な作業

フィットメントだが、FIXWELLの基準で言うとフロントがツラウチ、リアはぶっ被りのスラムド。

フェンダーにホイールを飲み込ませた際に“名刺クリアランス”でフェンダー裏とリムもきっちりと攻めている。

フェンダーとインナーは無加工。

「キャンバーはちょこっと寝かせて。リアは純正の調整式の偏心ボルトをいじって、フロントはPloomのオプションのピロアッパーで調整して」

ただ、ここまでフィットメントを突き詰めようとすると、車両特有の癖もクリアしていかないといけない。

「964の足回りは特殊で、普通に下げていったらフロントが極端にトーアウトに向いて、リアは極端にトーインに向くんですよ。なので、それを考えながらホイールサイズのマッチング計測しないと当車両と同じようなバッチリなツラは出ないです」

それはどのようにして計測しているのだろうか?

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

「あらかじめ計測用のPCD130のホイールをわざわざ買って、車高を全下げにして落とした状態から、フェンダーとホイールの距離を測ってちゃんとマッチングを計測してます」

勿論、下げた状態でのアライメントを取った上で仮ホイールを入れて、オフセットがいくつ必要なのか、アライメント調整がどの程度必要なのかを判断して計算して最終的な詰めの作業を行う。

実はこの作業がカーショーでは非常に重要な作業だ。いわゆるショークオリティのカッコいい車にするには必須とも言える。

一般人から見れば、フェンダーとリムの間のごく僅かなクリアランスかもしれない。しかし、この作業次第で大きく見た目の印象が変わる。

ただ、この作業を詰めてやってくれるショップは少ないかと思う。

何故なら、これには理由があって、ひとつは作業をする人、またはショップのセンスと根気が必要になる。その上でオーナーの好みもある。そしてフィットメントを突き詰めるにはホイール、タイヤ、フェンダー、アーム、フレームなど関わってくる要素が多い。

となると商売的に見ると“やりたくない作業”、またはやりたくても手が出しにくい作業だろう。

じゃあ、自分でやるか。と思う人もいるかもしれないが、時間もかかるし、それなりの作業環境と経験がないと難しい。

では、どうすれば、そういうショップと巡り会えるかと言えば、ショー(フェンダリストやFIXWELL)によく出展しているショップをSNSなりで探して、実績を見ていけば探せるかと思う。

新作ホイール

「ホイールは4月の1日から発表しようと思っているアバロンホイールズです。僕が立ち上げたメーカーなんですけど、この964についているホイールはQYIっていって単造の3ピースのホイールです」

気になる人はMOONTECHに問い合わせてみると良いだろう。

「サイズは18インチのフロントが9jの+30。リアは9.5jの+35です。PCDは130。タイヤはTOYOTIRESのプロクセススポーツでフロントが215/40-18、リアが225/40-18」

メンテナンスと費用

話をエアサスに戻すが、気になる費用について。エアサスの取付工賃はどれくらいなのだろうか?工賃については車両や仕様によるかと思うのでボリューム感を聞いてみる。

「だいたい100万円前後、取り付け含めるとかかります。加工も含めて」

Ploomのエアサス、AirLiftのマネジメント、そこにMOONTECHが推奨するフィッティング、ホースを加え取付工賃を合わせておおよそ100万円前後。

最近は安価なエアサスも色々あるので、各社の機能や仕様を比較してみると良いだろう。比較ポイントは以下の会話にある。

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

「エアサスは定期的なメンテナンスが必要。エアサスって大気をコンプレッサーで圧縮して、空気をタンクに貯蔵して、その空気を電磁弁というものを使って各四輪のバックにエアを送る」

「理科の授業で流れると思うんですけど、大気には水分が多く含まれているので、大気を圧縮した空気っていうのは水分が入っている。その水分を抜かないと足回りにその水分が流れるし、マニホールド、電磁弁の方にも水分が流れるんで、機械製品が錆びると。で、故障の原因になるんです」

では、どのように対応すればよいのだろうか?

「水抜きっていうのを定期的にしてあげる。水抜きだけで十分です」

水抜きについてはタンクのコックをひねるタイプの物から自動で水抜きをしてくれる物まで出ているが、こうした作業が必要になる。

「水抜きは動かす頻度によるんですけど、毎日乗ってたとして、2週間に1回くらい。毎日乗らないんだったら、コンプレッサーは回らないので、基本的にはほぼやらなくても大丈夫かもしれませんね」

但し、これはあくまで確かな製品で取付がしっかりしていて、他にエア漏れなどのリスクがない場合の話。

デメリットとすれば、エアサスは取付やフィッティングの良し悪しでエア漏れのリスクをかかえてしまうという所だ。

「うちがこだわるポイントとして、キット付属のものだけで完結させないようにしています。どういうことかと言うと、エアサスって各パーツをつなぐ部品が増えれば増えるほど、そこの部分からエアが漏れるリスクっていうのがどんどん増えていきます」

「なので、取り付ける車に合わせて最短距離と最低部品だけでつなぐような工夫をしてるんですね。他にも、例えば、うちだとドットAって言われる、エアブレーキの規格のフィッティングを使ってて、ホースもそのドットAを使ったりしています」

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

どう取り付けるかというのも大事で、エアサスは構成する部品がバック、コンプレッサー、電磁弁、フィッティングホース、リモコンと様々な要素があり、もし異常や不具合が起きた時にその分見る箇所がある。という事も覚えておきたい。

エアサスという選択

国内でも普及してきたエアサス。おそらく、これからより身近なパーツとなっていくだろう。カーショーでの導入率は年々上がっている。

エアサスのメリット・デメリット。費用はいくらくらい?

よく車高調と比較されるが、どちらもお店で扱うタグティーはどう考えているのだろうか。

「個人的にはサーキットを走るっていうところまで考えちゃうと、やっぱりそれに合わせて作られてる車高調」

「ローダウンするためっていうところだけで選ぶと、割と今はもうエアサスの方が軍配は上がると思ってます。無加工で付けられる車体もありますし」

タグティーいわく、エアサスは時代のニーズにマッチしているとの事。またクラシック、ネオクラと言われている旧車やガレージに保管しているコレクションカーにも最適だと話す。

「今後その車をきれいに残すっていう意味も含めて、クラシックカーにエアサスっていう選択肢はありだと思います。腹下やバンパーを擦る事もないし、乗り心地もいいし」

「車庫に入れてる車がショーカーみたいにガッツリ下がってたりすると見た目もカッコいいし、保管しときたい車はエアサスありきでも面白いのかなと思いますね」

Written by: Maruyama
この記事のMedia crew
Photographer Tomotasu
Photographer Shu
Photographer hpg
Photographer Zaru
Videographer Lowermotion
Photographer seriole.oncle.focus
Photographer 510
カメラマンのyuta
Photographer Yuta
カメラマンのDai
Photographer Dai
Photographer Stew
カメラマンのlucky
Photographer Lucky
Total
0
Shares
You May Also Like