レシプロエンジンという言葉はあまり使われないですが、ピストンを使ったエンジンの殆どは、レシプロエンジンに含まれます。
例えば、直列型エンジン、V型エンジン、水平対向エンジンなどもレシプロエンジンの仲間。レシプロエンジンを簡単に説明すると、ピストンの往復運動をクランクシャフトやコンロッドによって回転運動に変えるエンジンです。
ロータリーエンジンはピストンの往復運動ではありませんのでレシプロエンジンの仲間ではありません。レシプロエンジンの中でも異端児と言われるのが、水平対向エンジン。
水平対向エンジンは、他のエンジンと同じようにクランクシャフトは1本ですが、クランクシャフトを挟んで、向き合うピストンが水平方向(左右方向)に往復運動するのが大きな特報です。
水平対向エンジンが搭載されている車種について
現在、水平対向エンジンを搭載している自動車を販売している完成車メーカーは、世界を見渡しても、日本のスバルとトヨタ、ドイツのポルシェだけだといってもいいかもしれません。
トヨタはスバルと共同開発して、自社ブランドとして水平対向エンジンを搭載した86を販売。
スバルで、水平対向エンジンを搭載している車種は、BRZ、エクシーガ、フォレスター、レガシィ、レヴォーグ、インプレッサ、XVといったところでです。スバルが開発・販売している自動車の殆どが、水平対向エンジンを搭載しています。
86とBRZは、コンポーネントはほぼ同じですが、外観や走りについては、トヨタやスバルがそれぞれ独自の味付けが施しているので、似て非なる自動車に仕上がっています。
スバルは少し前までは、直列4気筒エンジンを積んだプレオやサンバーなどを開発・販売していました。
ポルシェに目を移すと、水平対向エンジンを搭載している車種は911、ボクスター、ケイマンといったところです。
ただ、スバルは水平対向エンジンを車体のフロントに縦置きにレイアウトすることに対して、ポルシェは、水平対向エンジンを車体のリヤに縦置きにレイアウトします。
水平対向エンジンの長所について
水平対向エンジンの長所でよく語られるのが、低重心とコンパクトです。
水平対向エンジンは、ピストンを水平方向に寝かして配置しているので、エンジン自体を低重心にすることが可能です。
また、直列型エンジンのようにピストンの全てを一列に並べるのではなく、複数あるピストンを左右に半分ずつ分けて、寝かせて並べるので、エンジンの前後の長さ短くして、コンパクトにすることができます。
水平対向エンジンの短所について
水平対向エンジンの短所でよく言われるのがメンテナンス性の悪さ。
特にスバルの車種は、シリンダーヘッドと車体のサイドフレームの隙間が狭く、メンテナンス性が悪いことで知られます。直列型エンジンに比べると、スパークプラグやガスケット交換は大変です。
最近は改善され、短所としてあまり挙げられないようになりましたが、シリンダーが水平に寝ているため、潤滑油膜が均等にならずに偏摩耗が発生する可能性があります。
スバルとポルシェしか搭載していない水平対向エンジン。長所も短所もある個性的なエンジンだけに、ファンも多いです。中でも、スバリストといわれる熱狂的なスバルのファンには、水平対向エンジンをこよなく愛する人は多いです。