Nスタと言えば、関東のカスタムカー乗りにはお馴染みのショップ。昔から様々な有名車両をリリースしている老舗だ。
代表の長浜さんが扱う車両は、ジャンルレスといった感じだが、単に何でもやりますといった話ではなく、それぞれの“ツボ”を分かっているように思う。
それを人から支持されるのは難しい事で、誰にでも出来る訳ではない。
VIPカーが多かった
そもそも、Nスタと言えばドリ車をメインに造っているイメージだったのだが、その点について長浜さんはこう話す。
「ドリ車もやりますし、VIPカーもやりますしオールジャンルですね。はい。元々VIPのクルマの方が多かったんですよ、VIPばっかり造ってる事もあって。そこから、自分がドリフト昔やってたんで、ドリフト復活してやり始めたら、必然的にドリフトのお客さんも集まって来てくれたみたいな」
現在のイメージとは違って、開業時はVIPカーが多かったそうだ。場内を見渡すと、確かにその頃の名残りがある。
汎用フェンダーの始まり
ヒット商品といっても過言ではない、Nスタのキラープロダクト、汎用フェンダー。
関東のカスタムカーでも、ジャンルをクロスオーバーして装着されているが、その始まりについて教えてもらった。
「元々、VIPカーのマジェスタだったり、インフィニティだったり、そういう感じのオーバーフェンダー造ったり。あと、旧車もやってたりしてましたね。初期型ソアラとか61とか、330とかそのあたりも好きでやってて。ただ、ドリフトを趣味でやってたから、今もこうやってやらしてもらってる感じですよね」
「んで、その頃ドリフトやってるお客さんが、鉄板のオーバーフェンダー造ってたんですけど、やっぱタイヤ剥がれたり、吹っ飛ばしたりしてて、フェンダーが割れちゃうっつーんで、じゃあFRPで、すっ飛んでもすぐ直るフェンダー造るかっていうので、造り始めたんですよね」
その頃のカスタムカーは、叩き出しやブリスターが多く、FRPのバーフェンはほとんどいなかったそうだ。
「オフセットキングだっけ?どうだったかな?今から6〜7年前だったかな?10cmのバーフェンとか付けてる人あまりいなかったんですよ。その当時。で、その時に無理してでもこれを付けて行きたいと。これから先、流行るというか、自分でやっていきたいな(流行らせたい)っていうのがあったんで、付けて行ったんですよね」
長浜さんの優れている所は、こうしたチャレンジ精神にあるように思う。
失敗から生まれたヒット商品
フェンダーにフォーカスしたフェンダリストもそうだが、長浜さんは、昔からクルマ造りにおいてフェンダー造りを重視していたようだ。
「一番最初は、とある車種のドアとリアフェンダーのでっかいパネルタイプの造ったんですよ。うん。まぁー売れなかったですね(笑)ハハハ。はい」
「当時、その車種のドアとリアクォーターって高かったし。うちも費用かけて造ったから。売れても月に1個出ればいい方で、これ駄目だ、どうしようなってなって。じゃあ、小さくすればコスト的に収まるだろうつーんで、フェンダーの所だけをくり抜いて、色んなクルマに合わせてみて、汎用性を持たせたやつがこれだったんですよ」
独立して間もないショップというと、大変な苦労が伴う。例えば、お客さんの対応、作業、経理、様々な段取りなどがあり、オリジナル商品を出すとなると、それだけで目が回りそうな苦労があるはずだ。
しかし、長浜さんは、大胆にも大切な在庫のフェンダー部分を切り抜いて、色々なクルマに合わせて、いくつかのバージョンを用意する事で、メーカー問わず、2ドア、4ドアに付けられる汎用品を生み出した。
「それから、特に販売に力入れてるとかじゃなかったんですけど、何か自然に広がった感じです」
長浜さんと話せばすぐに分かると思うが、何とも長浜さんらしい話だ。
思い入れ
「現代版240Zですよね。昔は240Zのフェンダーを違うクルマとか旧車に付けてたり色々やってたじゃないですか?それを現代版にしたんですよね。240Zのフェンダーって、少しうねってたりするのもあって、それをシンプルにビスも付いてないかのように付けられる物が前から欲しくって」
Nスタイルの特徴の一つは、旧車の良い部分や当時のトレンドを現代のクルマにフィードバックさせている所。
また、ボディワークの職人でありながら、その目線は現役のカスタムカーオーナーである。だからだろうか、長浜さんの元には多くのフォロワーが集まる。
時代の流れ
「今はドリフト、スタンス系のお客さんが多いですね。ただ、昔と違って、最近はドリフト行くぞーっつっても、数台なんですけど、スタンスとかそっち系のイベント行くぞっつったら、十数台集まるんですね。時代の流れですね。ドリフトはやっぱお金もかかるし練習もいるでしょ。ドリフトはできないけど、スポーツカー乗りたいっつって、飾る方に行く人もいますね」
それは、ネガティブな発言ではなく、時代の流れとして受け止め、理解した上で、順応してるのはこれからの会話で分かるのではないだろうか。
主観であるが、ドリフトのようにクルマを自由に操る楽しさは、どんなに時代が変わっても不変的な物であり、その形こそ変われど無くなる事はないだろう。
流儀
こうした時代の流れの中、ショップに訪れるお客さんはどういった作業内容が多いのだろうか?
「やっぱり、フェンダーいじってオールペンが多いですよね。で、ホイール入れて、鉄板溶接か後付けフェンダー付けて、オールペンが多いかな。あとは、付かないよっていうフェンダーも車種に合わせて加工して付けたり、他店で無いような物も造ったりしてますね」
ショップで依頼を受ける時、長浜さんには流儀がある。それは絶対にオーナーと会って、クルマの状態を把握してから、段取りや納期や見積もりを伝えるという事。
それは気難しいとか、そういった話ではなく、お客さんのやりたい事や理想を話合った上で、出来る限りお客さんのニーズに答えてあげたいというマナーだ。
やる気のあるお客さんは、必ず会いに来てくれるらしい。
“例えば、シルビアでアーチの切り上げをやって、フェンダー付けたら全部でおいくらですか?”と質問したところ、作業内容や段取りもしかり、その値段を聞いて笑顔になってしまった。
場内の様子
USな雰囲気が好きと話す長浜さんは、よく渡米しているそうだ。しかし、USシーンを見ながらもこう話す。
「USシーン好きなんですけど、向こう見れば見るほど日本になっちゃうんですよ」
「ドリドレとかすごいよね、パイプフレームとかでしょ?みんなスゲーよなぁ」
「昔は、USも若い子らがJDMっつってね、日本の影響受けて、鉄チン履いて汚いクルマも多かったんだけど(笑)最近は、USと日本がお互い意識してて、向こうも綺麗なクルマ増えたよね」
敷地内の置かれている車両や、雰囲気を見ると、こうした会話がそのまま表現されているような印象だ。
80スープラ
どれもこれも気になる。
この日遊びに来てくれたVIP仕様のCIMAもこれまたすごい。長浜さんのクルマ造りのスタイルが表現されているのがよく分かる。
とんでもなくワイドな80スープラも圧倒的。
「イベントに出すのに、2年前にデモカーで造ったんですね。で、このフェンダーは良いも悪いもなくて、評価の対象になる為にわざと大きく造って、この色も塗る人いないから塗って。本当はシンプルなのが好きなんですけど(笑)」
いかにも海外受けしそうだが、これは販売されているのだろうか?
「これはね、造った時、アメリカの方からも連絡来たんだけど、結局トレーラーにも積めないし、日本のローダーにも積めないんですよ(笑)日本では国土に合ってないですよね。運べないし。だからこれは、一点物です(笑)」
しかし、これからエンジンを載せて販売されるかもとの事。気になる方は、ホームページなど注目しておくと良いかも知れない。
「今、2JZのT88がくっついてる6速を用意してあるんで、それを入れて、フェンダーももっと小さくして、今度はみんなが好きな雰囲気に。この状態はオンリーワンじゃないけど、自己満足の為に造ったクルマなんで」
「もう一台スープラあって、2JZの6速、カムとT88、ツインポンプにして、ダイナパックで700馬力くらいいったんですね。ちょっとドッカンで乗り辛いですね(笑)ほんとに筑波仕様です」
20ソアラ
「趣味ですね。自分の趣味。1JZにGTX3076タービンのVプロ制御ですね。450馬力くらいですかね。乗りやすいですよ、下から回って」
看板車といったところだろうか?この型のソアラファンは多いだろう。どことなく当時感があって上手い!と思ってしまった。
「看板車的には、元々スープラだったんですよ、最近まで。海外でもスープラは人気車種だって言うんで。で、USでフェンダー宣伝してたりしたんで、じゃあ人気車種のハイパワーカーに乗ってる方が見栄えもいいよねってんで、スープラ乗ってて」
「で、それで筑波とかも全開で乗ってたんですよ。そしたらスープラの値段がどんどん上がってきちゃって、潰しちゃったらもったいないし。宝物なんで。ちょうどその頃に出てきたエンジンブローした20のソアラ買ってきて直したんですね(笑)」
カローラ
70カローラは、元々4AGが載っていた公認車両だが、日光でふつけてしまい、今後エンジンルームのシェイブも含めてやっていくそうだ。
ちなみにAE86がドナーになっていて、エンジン、ミッション、リアホーシング、ガソリンタンクなどを移植してあるそうだ。
N-STYLE
「後付けバーフェン、鉄板溶接、エアロ加工、板金塗装、車検もやりますし、何が推しなんでしょうね(笑)考えたことないんですけど(笑)」
N-STYLEは、何屋さんと問われると難しいのかもしれない。あえて言うならボディーワーク全般という感じだろうか?
ジャンルもお客さんの要望次第で対応してくれる。旧車の話をしていたら、次はこんな話になった。
「最近ね、スバル乗りの人が多いですね。走れるスタンス?アタック仕様って言うんですかね?うちのバーフェン付けて、タイヤはあんま引っ張んないで、四角いタイヤのままで起こして。そう。んで、ロールバー入ってるインプGDBあたりが、本気でサーキット走って飾れるみたいな。そういう感じの人が増えてるんですね。この前やらしてもらったVABも、うちのオーバーフェンダー加工してくっつけて」
「スバル乗りの人はね、すごいんすよー。一人に気に入ってもらえると彼らの宣伝力とかコミュニティがすごいですよね。どっちかというと群馬ってスバルじゃないですか。スバルの工場があったりするし、ありがたいですね!」
と、熱心にその様子をスマホで見せてくれた。
トライ&エラー
長浜さんは失敗を恐れず、現在も色々な事に挑戦をしている。大胆であるが、様々なトレンドにもアンテナを張る繊細さも持っている。
過去には失敗や、人に迷惑をかけた事もある。しかし、その事をとても気にしていて、現在はコンプライアンスを心得え、その上で出来る事をやっていきたいと話してくれた。
この記事を書く数日前に、日光サーキットで行われている大会で走る20ソアラの姿をSNSで見かけた。
これほどアグレッシブで、有言実行なショップオーナーはいないのではないだろうか?
取材後、ご家族と一緒に食事に招いていただいたのだが、そこで見たのは90年代によく見かけた、面倒見のよい先輩の姿そのものだった。
N-STYLE CUSTOM
〒374-0104 群馬県邑楽郡板倉町大荷場443
営業時間:10:00〜19:00
定休日:不定休(レース、イベント日はお休み)のため、ご来店の際はお電話下さい。TEL:0276-78-2305
FAX:0276-78-2305Facebook : https://www.facebook.com/Nstylecustom/事業内容 : 各種自動車販売、各種自動車板金塗装、自動車保険、オリジナルパーツ造形・販売、FRP加工、一般車検整備、ガラスコーティング加工、オートローン取扱い
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