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タイプMのプライド!!2.8L、630馬力、シーケンシャルでGTRを凌駕するマシン

32タイプM、630馬力、シーケンシャル
あくまでも主観だが、32のタイプMと言えば、発売当時はGTRと比較されがちで、名車といえる評価をもらいながらも、その存在をないがしろにされてきたように思う。

筑波サーキットで開催されるATTACKに参加するSさんのタイプMは、そんな背景を払拭するようなマシンに仕上がっている。

600馬力超えのタイプMには、どのような苦悩や工夫が隠されているのだろうか。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

2.8L化、東名M8260タービン

エンジンはRB26DETTに載せ替え、HKSのボアアップKITで2.8L化。これによりピストン、クランク、コンロッドを刷新。タービンは東名のM8260(ポン付け最大級)。これをZ32のエアフロ、純正ロム書き換え、HKSのEVC6で制御。ブースト1.5で630馬力を発生する。このビッグパワーを受け止めるのはホリンジャーのシーケンシャルミッション。

概要を聞くだけで、その加速Gが脳裏に伝わってくるが、いったいどのような味付けなのだろうか?

「タービンがけっこう大きかったんで、やっぱ最初は下から回らなかったんですけど、ただ、それをインタークラー逆さまにしたり、加工とかセッティングし直して、今だと4000回転くらいから立ち上がってるんで、普通よりかは扱いやすくなってます。あとはもう、ミッションがかなりクロスなんで、加速はずっとドンって感じですね」
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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シーケンシャルミッション

クルマ好きにとって、Iパターンのシーケンシャルといえば憧れのアイテム。オーナーはどのような感想を持っているのだろうか?

「ホリンジャーはタイムアタックの最中はいいですね。ただ、けっこう(低速で動かす際など)気を使います。あと、シーケンシャルってオイル容量が少ないので、熱ダレも少し早いのかなぁという気がしてたました。で、少しでも増えてたほうがよいのかなと思って、キャッチタンクの入り口にニップル立てて、そっからホースつけて、ちょっとオイルの容量増やす感じにしてます。ほんとに微々たる感じですけどね」と扱いに気をつけている様子。

ミッション自体は32GTR用で、トランスファーの加工、ペラシャを一本加工してFR化。リアメンバーとデフは32GTR用を使っている。理由は「ペラシャとデフが付く所が違うのでGTR用にしています」との事。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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心臓部をサポートするパーツ

2.8L化に伴い燃料系も見直した。トランク内に設置されたコレクタータンクにBOSCHのツインポンプ、エンジンルーム内にはHKSのデリバリーパイプ、SARDのフューエルレギュレーターにDESOのインジェクター800cc。

コレクタータンクの役割は、燃料を一度タンクに貯めてポンプでエンジンに送る。そうする事ではげしいコーナーリングやブレーキング時に、ガソリンの偏りから起こる空気の吸い込みを防止する事ができるそうだ。

冷却系はBLITZのラジエター、トラストのオイルクーラーとインタークーラー。インタークーラーは上下を逆さまにして、パイピングを短くする事で、下からのレスポンスを確保するようにしている。

吸排気はマニが純正交換タイプで、フロントパイプはフロントローのステン、マフラーはトラストのチタン。エンジン出力を最大限に活かすクルマ造りなっている。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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タイプMなフロントマスクが、新鮮に見える

ボンネットは高勢スタウト。フロントフェンダーとバンパーはGTRの純正品にFEASTのカナード、SHORINのフロントリップ、ディフューザー。JUN Autoworksのバーフェンにリアはトップシークレットのディフューザー、ウイングはSARD。ドアはカーボンで軽量化。

印象的なボディカラーは、色あせが少ないというMAZDAのソウルレッドプレミアムメタリック。外装に関してはGTRルックにする人が多い中で、タイプMっぽさをそのまま維持している。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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馬力を活かす、足回りとブレーキ

ビッグパワーを路面に伝える足元はどのようなセッティングになっているのだろうか?気になるところである。

まず、車高調はスピリット。ロアアームは純正加工のピロ化。フロントのアッパーアームはクスコの固定式のアッパアームで、10mmショートを使用。

「前は調整式使ってたんですけど、馬鹿になってきちゃって動いちゃったりしてたんで、完全に調整なしの短い(ショート化された)アームを使っています」

状況に応じて-5mmと、-10mmの物を使い分けているらしい。

ブレーキはフロントがブレンボのモノブロック(つなぎ目がない一体物)鍛造の6ポッド、通称“モノロク”を使用。リアはフェラーリ360のキャリパーを移植、ローターはV36の純正350πを流用。

ガツンと効きそうなイメージだが「それはパッドによる」との事。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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車高に対する考え

ホイールはTE37SLで11j+18の通し。タイヤはディレッツァのz2、starspecで295/30/18。これをリアはバーフェン、フロントは爪折りで収めている。

タイムアタッカーの車高に対する考えは、どのような特徴があるのだろうか。
「フロントがどうしても重いので若干後ろ下がりにしてます。あとはまぁ、走ってみて。まだベストな所は探れてないので、ちょこちょこ調整しています」

バネはスイフトで、フロント14kgのリア12kg「色々試してみて、ノーズダイブしすぎてる感じがあったんで、8kgから徐々にレート上げて色々やってます。セッティングの方向性が決まってくれば、HALスプリングに変えようかなと」

RB26は非常に優れたエンジンだが、同時に“重い”という弊害も持ち合わせている。Sさんの車高に対する考えは、走りに影響を及ばさないようにセットされた車高と言える。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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自分の走りに応じた、必要最低限なキャンバー角

キャンバーに関しては、自分の走りに応じた必要最低限な角度を探すようだ。
「キャンバーをつけるかつけないかは、タイヤを自分で使えてるか、使えてないかですね。タイヤのショルダーにマーキング(三角のスリップサインあたりにマジックなどで線を引く)してショルダー手前まで消えてれば使いきれてるし、消えてなければ、そこまで必要ないんじゃないかって判断は、一つの目安として出来るので」

「キャンバーつければ踏ん張るとかだと思うんですけど、つけすぎるとタイヤの接地面が少なく、ロックしやすくなる。そうするとブレーキを弱めると思うんですけど、制動距離が伸びるんですよ。その結果、フロントにも荷重がかかりずらいし、頭が入りづらくなったりするんで、キャンバーをつければいいって事でもないですね、自分の場合ですけど」

こうした考えの元、現在のところF3.5度、R2度で固定されている。

マシンメイクに関しては、基本的に茨城にあるアウトバーンというショップにお願いしているが、メンテナンスや簡単な作業は自分で行うそうだ。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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全国から速い人が集まる“ATTACK”への参戦

Sさんのステージは筑波サーキットで開催されているATTACKに絞られている。

ATTACKは、アンダー鈴木選手、セヤマックス選手をはじめ、WTACに行く人達が顔を出すという本格的なサーキットイベント。チューニングカーがワンラップにすべてをかけて走るという。

「全国から速い人がきて、けっこうガチですね。その中で自分はラジアルクラスにエントリーしてるんですけど、ラジアルで1分切るのが目標ですね」
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

「2006年から筑波走ってるんですけど、最初はタイム狙ってなかったんですね、楽しいなって感じで。でアタックに誘われて出てみたら、普通の走行会とは全然違う雰囲気で、けっこうみんな、本気モードな人達が多くて。その中で走れるっていうのがすごい刺激があって。で、そうして段々タイムを狙っていこうかなと思うようになっていったんですね」とグリップを楽しむスタイルから、ストイックにレコードを刻む世界に飛び込んでいった。

1周にすべてをかける世界で一番楽しい瞬間は、どんなシーンなのか?「ミスしないように走って、計測器を見てタイム出た時ですかね。ただもう走ってれば楽しいですけど」また、ドッカンだったり、下から回る仕様だったり様々なマシンの中でタイムを出していくのは楽しいそうだ。
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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タイプMであるという事

こうした背景の中で、SさんはタイプMをどのように見続けてきたのか尋ねてみた。

「どっちにしろGTRっぽくなってしまったんですけど、まぁタイプMっていうのはそれはそれで面白いかなと。やっぱりGTRが多い中で、タイプMがいるっていうのもいいかなと。そうですね、プライドみたいなもんですね」
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タイプM乗りにはGTRを超えるといった漠然とした競争心が何処かにあるのかもしれない。ただSさんの場合、ATTACKに出始めてから色々と考えが変わったそうだ。それは他者がどうのとかではなく、自分との戦い、挑戦に変わったのだろう。それ故に見えてきた課題もある。

「これは重量のバランスが悪い。フロントがすごい重いんです。リアも33からリアシートのちょい後ろくらいに燃料タンクがあるんで、車軸からオーバーハングの方にはないんですけど、32はオーバーハングの所に、トランクの真下に燃料タンクがあるんで、テコの原理で、重さで車の動きがかなり変わってきちゃう。それがネックですね。解消する為にシート外したり、エアコン外したり、バッテリー後ろに持ってきたりしたんですけど、やっぱ絶対的な重い物がフロントに乗っかってるんで」
32タイプM、630馬力、シーケンシャル

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フロントヘビーな課題、プライベーターゆえの資金問題などクリアしなければいけない要素が多くある。それでも最近は徐々に“自分の理想”に近づいているとの事。

このマシンとタイプMの魅力とは何だろうか?

「もちろんRB26の魅力もあります、例えばエンジンの音とか、排気の音とか、あとパワーが出るとか。タイプMはFRって事と、20数年前の車とは思えないくらいのかっこいいデザイン。そういう魅力があるんで、乗り続けているのはそういうのですかね」

Written by: Maruyama
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