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プログレJDMな180sx

型にはまらないプログレJDM、このルックスに至った理由には意外なコンセプトがあった

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プログレJDMな180sx

日本発としてカテゴライズしたい“プログレJDM”。「あまり見ない感じだけど、使ってる物は日本製だから、プログレッシブJDMと後輩から言われたことあります」

街道仕様を連想させるフェンダーミラーやステッカーボムなテールなど車種不明の出で立ち。型にはまらないマシンを造ったプライベーターTさんに話を伺うべくの作業場にお邪魔した。

彼の作業場には、後輩やチームの仲間が集まり夜遅くまで作業が行われているらしいが、いったいどのような場所なのだろうか。

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サンドブラストまである本格作業場

作業場に着くと、彼の後輩がS14シルビアの塗装と整備をしている最中だったが、時間をもらい話を伺った。

敷地内を見渡すとリフトが設置されており、工具や機材もずらりと揃っている「エンジンとかセッティング以外は、基本的にはやってみるだけやってみるの精神で」と溶接、塗装、板金、パーツ加工・製作まで行っているそうだ。

特にサンドブラストまで置いてあるのには驚いた。プライベーターでは持っている人も少ないのではないだろうか「動かしてみます?」と錆びたボルトでデモンストレーションしてくれた。

プライベーターも大掛かりな作業を行うとなると、苦情が出たりして難しかったりするが、彼はご近所付き合いも欠かさないと言う。地域の理解を得るのもプライベーターとしての重要な要素である。

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異色とも言える車遍歴

彼は元々、アメ車を何台も乗り継いできた。車の整備もアメ車ゆえの事情があり自分でやるしかなく、独学で覚えたそうだ「アメ車乗ってることで、どうしても自分でやらないといけない事も出てきて。やってくれるショップも少ないし、パーツもどうしても輸入とかになっちゃって。リフトもアメ車って重くてジャッキアップがすごい面倒だったんで」

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以前はウエッサイな人だったのであろうか。どうしてドリフトの世界にシフトしていった経緯について聞いてみた。

「アメ車を何台も乗っていた頃、サニトラを足車にしていた時期があって。でもソレックスを組んでエンジン載せ替えて、普通に走ったりしてたんです。まぁデフも入ってたし、ドリフトやってた仲間がいたんでサーキット行って、ドリフトしたところできなかったです。何でできねぇんだろうって思って、ちょっと車貸してよって、仲間のシルビア借りて、ドリフトしたんですよね。そしたら普通にできちゃって。その一ヶ月後には180sx買ってましたね」

「その180sxはすぐにワイドボディ、オールペン、ブーストアップしてサーキット走ってたんですけど、横転してつぶしちゃって。その時に部品取りに買ってあった今の車両にパーツを移植したんです」

聞くと彼の行動力には並々ならぬアクティビティを感じた。

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マシンチェックをしてみた

まず外装は、オリジンのレーシングライン、フルエアロをベースにオリジナル加工(ボンネットは同社のTYPE2)。リアバンパーは純正バンパーにFD3S用のメーカー不明ディフューザーを加工して取付。オーバーフェンダーもメーカー不明品との事。基本的には身近にあるものを上手く活用している。

この日履いていたホイールは、STANCE MAGICの新作でF9.5j/17のR10.5j/18。室内は自作パネルによる3連メーター、HKSのEVC、7点式のロールバーとシンプルな感じでまとまっている。メインで使っていたフルバケはチームで所有しているローレルに移したそうだ。

面白いのはアペックスのECVを、シガーソケットのあった場所に設置しており、見た感じフィッティングが自然で収まりが良い。取付は車体に穴を開ける必要があるそうだ。

プログレJDMな180sx

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エンジン関連はオーバーホールついでに組んだ、BC(ブライアンクロアー)の264°/264°のカム、H断面コンロッド、ビッグバルブ、CPキャリロのピストン。インジェクターはニスモの740ccインジェクターに、タービンはGCGのGTX3071R(アクチュエーター式)をチョイス。

コンピューターは金プロで制御、ブーストはハイブースト1.9で450馬力ほど出ている。普段はローブーストでパワーを抑えているが(激しい走りのせいもあるかもしれないが)クロスミッションも飛ばしてしまったそうだ。

吸排気に関しては、100πのサクションパイプ(サージング防止のポーテッドシュラウドがある為に太い)、おそらくシルクロード製というエキマニと自作マフラー。

銅2層ラジエターにHPIのオイルクーラーなど冷却系もきちんと抑えている。

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すべては走りを念頭に置いた、実用性がゆえであった

さて、話は戻るがこのルックスに至った理由が気になる人も多いであろう。どのようなコンセプトを元に製作されたのであろうか。

「すべては実用性を重視した結果なんです。どんなコンセプトか分からないってよく言われます。自分でもこうしたいというのは特になくて。フェンダーミラーなんかも好きでつけたわけじゃなくて、遠征する時とかタイヤを助手席まで積むんですけど、そうするとドアミラーだと見えなくて。フェンダーミラーだと見れるんですよね。で、フェンダーミラーだと見えないところがあって、それを補う為に室内のバックミラーをウインクミラー(5連。アメ車からとってきた)したら、よく見えるんですよ」

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他にも、ロールゲージの斜行バーを外しているのは、遠征時にタイヤをめいいっぱい積む為だったり、サイドマーカー(フェラーリ用)がドア側に移設されてるのは、オーバーフェンダーを付けたことにより車検不適合になるのを回避する為だったりする。

カスタム費用も走りに関する事に重点を置き、それ以外は極力費用をかけていないのも、こうした理由があっての事なのだろう。

とは言え、トータルイメージには統一感があり決して乱雑にはなっていない事から、意図しない進化とも言える。新たなジャンルは時に必然にかられて形成されるのではないかと考えてしまった。

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アイデア満載のDIY

エンジンルームを除くと気になるのは、100πの極太サクションパイプ。これを取り付ける為にエアコンを外して、パワステポンプの位置を下げていると言う。

また、既製品にエア抜き加工を追加したブリーザータンクや自作オイルキャッチタンクと取り回しなど、小技を効かせたDIYも面白い。

他にもREDBULLの空き缶がミッションオイルのキャッチタンクの代わりになっていたり、デフオイルのキャッチタンクも容器にステンレスタワシを入れてセパレーター代わりにするなど、実は機能的だったりするカスタムにも感心した。

「物事の本質をちゃんと理解して、それが何のためにあるのか分かれば応用が効くじゃないですか」

“なるほど”なイズムである。

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交友関係、福島との交流

彼はI.FIVEと言うチームに所属しており、チームとしての活動も行っているが、福島のSR乗りとの交流も定期的に行っている。年に4回ほど走りに行ったり遊びに行ったり。最近では関東のSR乗りと一緒に福島へ行くことも多いようだ。

走りやミーティングにも積極的に参加し、自身の活動の幅を広げているのは見習いたい。

きっとそこで得た経験や知識はお金で買えない物ではないだろうか。

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仲間や後輩から慕われる存在

最近は自分のクルマをいじる暇がない、みんな材料とか使っていっちゃうんでお金がかかると苦笑いしながら、人が集まるようになった経緯を話してくれた。

「走りに行くのにはやっぱりメンテしないと。お金払って走るんで、一日遊びたいじゃないですか。で、それをみんなやらないで走りにきちゃって、すぐ壊れちゃったりとか捨てちゃったりして。そういうのが可哀想で。それで面倒見てる内に、じゃあ、うちにくればいいじゃん、教えてあげるからって感じで人が集まってるみたいな状況です」

彼の知見は豊富で、人によってはプライベーターから本業にシフトする場合もあるが、それについては「車関係で仕事ってのは一切考えてないですね、趣味は趣味でとどめたい。だからもう、本当に車で遊ぶために仕事をちゃんと、自分がやるべき事をやってお金を稼いで、クルマは遊びって感じで割り切ってやりたいですね」との事。

今後、作業場は土地を購入して拡張していく予定だと楽しそうな夢を語ってくれたTさん。昨今、若者には夢がないだの、やる気がないだの色々と勝手な事を言われているが、彼には明確でポジティブな目標がある。

そして人が集まり場所が生まれる。

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Written by: Maruyama
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