気心の知れた仲間でのんびりとした集まりも楽しいものだ。
何をする訳でもなく、他愛のない話しをしたり、クルマを触ったり。そんな時間がクルマ好きにとっては重要な時間だったりする。それは、どんなクルマであっても共通して言える事だろう。
チームの立ち上げ
Splashは立ち上げ間もないチームで、これから活動範囲を広げていくそうだ。
「ちょっと前にオフ会開いたくらいですね。ソアラが納車したんですよ、で、まぁそれを兼ねてチーム始めましたって感じでオフ会開いたんですけど。まぁ、これから色々やっていきたいと考えてますね」
現在はドリフトをたまにやりつつ、置きがメイン。今後は走行会なども開いていきたいとの事。
17クラウン、100チェイサー、30ソアラとメンバー全員1JZ乗りだが、これに関しては縛りはなく、自然とそうなったようだ。
「身内が集まってって感じの。地元ではないですけど、知り合いの知り合いでつながって」とチーム結成について、17クラウンのヤマグチさんは話す。
コンセプト
「いかにもドリフトしてますっていうより、かっこいいクルマ?見た目も良くて、ドリフトもできればいいなってテーマでやってます」
3人の共通点はローフォルムで、クリーンなクルマ。純正形状を維持しつつシンプルに魅せるクルマ造り。
それは、ストリートシックの読者なら、本記事のカバーイメージを見ただけで分かったかも知れない。
JZZ30ソアラのシオカワさんは、元々マークⅡ乗りで、一旦降りて復活したばかり。現在はレイズの57FXX、10jの18インチを入れて車高調で下ろしたところで、これから手を入れるそうだ。
クラウン
最近クラウンをドリフトのベース車両に選ぶ人が増えてきたが、ヤマグチさんのJZS17クラウンはディテールにこだわっていて面白い。
プリウスの設定にある赤でオールペン。
「パール自体はピンクのパールみたいなんですよね」と、お気に入りのカラーなようだ。
フロントバンパーはAIMGAINで、ナンバーの取付台をスムージング。加えて、フィンを2本のところ1本にして、できる限りシンプルに見せている。
「サイドとリアは、グロスライン。VIP系のエアロですね。置きのクルマっぽい感じで造って、実はドリ車だよって言うのがテーマですね」
サイドステップとリアバンパーのダクトは加工によるワンオフ物。
また、ドアノブやドアのふちは元々メッキ加工されていたが、ブラックアウトしている。細かい作業ではあるが、メッキは主張が強いため、結果トータルイメージを大きく変えるポイントになっている。
こうした、シンプルメイクは置き車からインスパイアされて全体像を組み立てているそうだ。
足元
フェンダーは前後アーチ上げ約30mmで叩き出しは約20mm。これにAMEのシャレン10j-15のホイール(4本通し)に、タイヤはF:215/35、R:215/40を履いてインストール。
フェンダーとホイールの組み合わせに関しても、純正プラスαなスタイルを造っていて、キャンバーをF:約9°、R:約5°半に設定し(アッパーで寝かせている)、スポーツVIPに近いニュアンスに仕立てている。
ちなみに、この日は朝から新しいホイールのエア漏れが見つかって、急遽このホイールに変更したそうだ。普段の空気圧は前後4kで問題なしとの事。
車高調は326パワーのチャクリキダンパーで、バネレートはF:45k、R:26k。車重がある為、そこまで硬さは感じないそうだ。
「そうですね、普通に乗ってて同乗者も違和感ないくらいですね。あんまり固めると、ドリフトした時に影響出ちゃうんで、ちょっとストロークするくらいにしてます」
17クラウンは、JZX110の足回りを流用できるので、走るクルマにしてもパーツには困らないそうだ。
ツラを見ると、走るクルマとは思えないが、この状態で走っても干渉はせず、逆に、全切りでバックすると時々干渉するそうだ。
パワー
元々、高級車といった立ち位置のクラウンだが、パワーはそのままでも申し分ない。ただ、車重をクリアし、コンパクトFRと対等に走るとなると話しは変わってくる。
「マフラーはリンクってお店のフルデュアルですね。オリジナルマフラーです。一応やってるメニュー的には、420馬力くらい出てればいいかなって感じです」
現在のステージに合わせて、タービンはポン付けタイプのHKSのGT2を入れている。
バックアップしてくれる存在
ヤマグチさんには、かずっち製作所さんなど、クルマ造りをサポートしてくれる仲間がいる。
ナックルを造ってもらったり、フォグランプを殻割りして既成品のプロジェクターを入れたり、ヘッドライトとテールランプのLED化なども行っている。
現物を見て説明してもらったが、メーカー品のような完成度だった。
理由
「元々100のチェイサー乗ってたんですけど、それを降りて、内装が良くて1JZ載ってるクルマ探してて、最初はヴェロッサと悩んだんですけど、知り合いが乗るって言うので、クラウンを選びました」
「クラウンは安いのだと、ほんとに20万くらいからあるし、マニュアルに載せ替えていじってあるやつだったら150万とか。まぁ、だから振り幅はありますね。クラウンはマニュアルの設定がないんですけど、110系のミッション載せられるんです」
「エンジンが同じなので、ミッションつけて室内のパネルを作る感じです。たぶんラスティーってお店がはじめたのかな。ただ、ミッションを載せる事は割と簡単らしいんですけど、サイドブレーキも元々、足のブレーキなんで、110用の手引きを移植しないといけないし、クラッチも付けないといけないんで、室内の加工が大変そうですね。今は不具合なく走ってます」
最近、クラウンでドリフトをする人が増えてきたように思うが、裏ではこうした苦労が隠されている。しかし、完成した時の満足感は大きい事だろう。
チェイサー
「オールペンしてから一度も走ってないですもん。走りたいな走りたいなで、結局お金使っちゃうんで口だけになってますね(笑)」
と、謙虚に話してくれたデグチさんだが、置き車に詳しい方ならご存知かもしれない。
4枚としては珍しいボディーカラーは、スズキのMRワゴンにある、ミルクティーベージュをセレクト。そこにラメを入れているが、けっこうな量に見える。
「白系なので、色の組み合わせ的にゴミが入ってるように見えないようにフレークを入れてもらいました」
ベースが白系なので、決して嫌味なフレークではなく「よく見るとラメラメしてますね」と言った具合で、写真では確認するのは難しいかもしれない。
どうやら、Splashのメンバーはこのような、隠れた工夫が好きなようだ。
インテリップ
フロントバンパーは純正のままに、ナンバーの取り付け台をスムージング。フェンダーアーチと帳尻を合わせる為に、バンパーの端はパテを盛って成形している。
そして「知り合いがやっていたので、カッコよくて」というインテグラDC2のリップを付けている。メーカー違いでここまでチリが揃っているという事は相当な加工が必要だろうと思ったが「はめてみたら簡単についちゃいました」と予想外な答えが返ってきた。
フェンダー
「フェンダーは自分でアーチ上げたんで、何センチ上がってるか分からないんですけど、形だけ切って、オークションで売られてた30mmワイドの鉄板フェンダーを買ってきて、位置だけ合わせて溶接してもらいました。アーチはたぶん30mmくらいかな?上がってると思います」
プライベーターの場合、こうしたフェンダーの造り方もあるのかと関心してしまった。バンパーとフェンダーの端がズレてしまっているのは、今後改善されていくだろう。フェンダー造りはとにかく奥が深く簡単ではない。
サイドステップ、リヤバンパーは純正で、リアはエアロレスにしている。リアのナンバースペースは、唯一ハードカスタムと言うべきか、MTスタイルな車両がやるような鉄板溶接によるスムージングが行われている。
「これは好き嫌い分かれるみたいで。自分好きなんですけど。あんまり表に出すというよりは、好きな人が見てくれていいねって言ってくれたらいいかな(笑)カッコいいを目指したというよりは、誰もやってない事をやってみたいなというのがあって」
クラウンのヤマグチさんと同じく、基本的にはストックボディを意識しつつ、オリジナリティの追求を入れていっている印象で、色気のある物といえば、社外品のルーフスポイラーくらいだろうか。
純ベタとも少し違うが、クリーン志向である。
17インチ
ホイールはSSR、MS1Rの17インチで10j-1。このシリーズは18インチから段リムになるそうだが、通常のリムのせいか、オフセットのせいか大きく見える。
リムにキャリパーの色が反射して見えるのは、深リムゆえの特権だろう。
「キャンバーはフロントが10°いかないですけど、9°ちょいで、リアが6°半ですね」
車高調は326パワーのチャクリキダンパーでF:40k、R:24k。装着した感想を聞くと、クラウンとは違った回答だった。
「うーん、リアは硬いですね(笑)街乗りだと少し硬いかなってくらいなんですけど、1回だけドリフトしたんですよ。昔8kくらいでドリフトしてたんで、うわーって感じですね」
バネレートは、個人の好みやスキルで大きく印象が変わるので、ひとつの意見として捉えるが、クラウンとの比較としては面白い意見だった。
ローフォルムなクルマ造りに欠かせないメンバー上げは、かずっち製作所さんのメンバーで、フロント30mm上げ、リアは326パワーのアゲメンで20mmほど上がっているそうだ。かずっち製作所さんは、純正アームやナックルをドナーにして加工してくれるそうで、お世話になっていとの事。
室内はブリッドのGIASⅡ SPORTが二脚に、7点式のサイトウロールケージ。ロールケージには不満がないのだが、こんな理由で入れ変えをするそうだ。
「ガゼット?バーリングを入れるために、今のままだとAピラーからの距離近いんですよ。バーリングを目立たせたい為に、クスコとかだと距離が離れてるので変えようかなと。あと2名乗車にして、点数も増やしたいんですよ」
探究心
Splashは結成間もなく、それぞれのマシンも未完成で造っている最中だ。だが、クルマ遊びに期限はない。自分のペースで楽しみながらやれば、それでいいと思う。
彼らのクルマ造りの印象は、うまくトレンドを取り入れて、シンプルメイクな中にオリジナリティも盛り込んでいる。
時間が過ぎて、本人達に完成したかと聞けば、クルマ造りに終わりはないと答えが返ってきそうだ。そうした探究心も感じた。
日がな一日
集合の約束も前日に。集合場所も何となく。「遅れる」なんて連絡もあったりなかったり。
そんなゆるい約束で集まり、海を眺めながら仲間と集まり、夜はファミレスでご飯を食べる。
こんな1日を過ごせるのは、幸せなのかもしれない。
「そうですね、日曜とかに集まって、ぼーとしてますね。何やってるかと言われたら話してるだけですね(笑)」