フェンダリストへ向けてのデモカー製作の続きです。
悲しいですが、おそらく何回も当てられたであろうボコボコになったドアパネル。
前回に続き、埼玉のJ,beatに相談すると「すぐに直りますよ」との事で、今回もお邪魔する事に。
症状
断定はできないが、凹み方と位置的に、いわゆるドアパンチだと思われる“エクボ”。オールペンを前にして、このままだと色が入った時に目立ちすぎるので直してもらう事にします。
当初は、DIYで裏側から叩こうと考えていたが、板金屋さんから「鉄は裏から叩くと前に出るだけで、余計にボコボコになるから素人はやめといたほうが良いよ」との助言をいただきプロにお任せする事に。
確かに、写真で見るとドアには微妙なアールがついているので、これをDIYとなると筆者のような初心者DIYERではとても無理な話。
場所の特定
作業にあたり、まずは凹みの特定をという事でマーキングします。
次にベルトサンダーで該当箇所を削って、下地を造っていきます。ボディのエクボや凹みは、デントリペアが有名ですが、凹みが多数ある事と塗装割れがあるので、今回のケースは板金修理の方が綺麗で安くあがるだろうと思います。
スタッド溶接機
鉄板が出て下地が出来たら、スタッド溶接機を使って凹みを引っ張り出します。スタッドは専用のワッシャーを一時的にドアに溶接し、ボディーアースを取ります。
そこからスライディングハンマーで、先端を溶接して凹んだ部分を引っ張り出します。
ハンマーを手前に引く事で「パンっ」という音と共に、凹んだ部分が徐々に出てきます。
一連の作業を見ていて、凹んだ箇所をハンマーで叩いているのが気になったので質問してみた。
「凹んだ箇所の周辺というのは、歪が生じてるのでその歪を落とします。スタッドで凹んだ部分の真ん中を戻したら、その周辺をハンマーで叩いて戻しているんです」
塗装焼け
凹みが無くなった所で再びサンダーで削り出す。これはどういう理由から行うのだろうか?せっかく綺麗になった表面だと思ってしまうのだが。
「溶接すると周りの塗膜が焼けてしまうので、剥がれやすくなってしまいす。それを剥がしてあげないとパテを入れても、また浮いてくるので」
板金屋さんによって色々な方法、考え方があるかと思うが、筆者の場合オールペン前提なので、非常に助かる作業だ。
説明をしてくれながらも、慣れた手つきでシングルとダブルアクションを使いながら、地金を傷めず塗膜や段差を取っていく坂本さん。
パテ入れ
塗装が剥がれると、溶接の中心に穴が空いているのが確認できる。これは、スタッドによって出来る溶接跡。
この穴には、強度のあるファイバーパテを入れて、ヒーターを使って乾燥させます。これは痩せの原因を防ぐ為の作業。
ここまで、1時間足らずとかなりのスピードだが、数日経ってもパテの痩せなど一切出なかった。
最終パテ
「これまでは表面を削る作業だったんですけど、これから先は歪を落としていくイメージで手の感覚で研いでいきます」
と、乾燥が終わると手で確認しながら研いでいく。
研ぎ終わるとシリコンオフで一旦表面を綺麗にして状況を確認した後、巣穴やペーパー跡を消す目的でポリパテを入れていきます。
ポリパテが乾いたら、最終仕上げの研ぎを行います。
サフェーサー仕上げ
J,beatでは通常、塗装仕上げが多いが、今回はオールペン前という事でサフェーサーまでにしてもらった。
また、ドアパンチが広範囲ではなく、比較的一つのエリアにまとまっていたので、こうした条件が揃い料金は、1万円とカスタムカー乗りには嬉しすぎる内容。
凹みがあちこちにある場合、まとめて作業を行えない為、作業時間と料金は変わってくる。
サフェーサーは水を吸い込んでしまう可能性があるので注意が必要だが、数日の内に塗装すれば、1万円という料金は非常に魅力的だ。
仕上がり
さすが鉄板溶接のフェンダーを造るショップだけあって、この程度の作業なら“お手の物”といった感じ。
完成すると凹んでいたとは思えない仕上がりである。もし、オールペンをするなら、おすすめできるコースだ。
但し、症状によって費用が変わる事、事前に予約が必要な事を理解した上で、依頼すると良いだろう。
作業を通して感じた事は、もしDIYでやっていたら大変な事になっていたと思う。決して元通りにはならなかったはずだ。
「ならない…と思いますよ(笑)今回は小さいのであれなんですけど、凹みが大きければ絞り作業というのが必要なってきます。歪んでしまった鉄板に、急激に熱を入れて急激に冷やして絞る、縮めるっていうそういう作業があるんですね。大きい作業も見てもらいたいくらいなんですけど、この程度ならそれはないって感じですね」
掛かった費用
※分かりやすくする為、送料や交通費、消費税など端数は除いています。
ご予約はこちら
J,beat(ジェイビート)
〒347-0105 埼玉県加須市騎西790-3
営業時間:ご来店の際は事前にお電話ください。
定休日:月曜日(事前に予約すればお店は開けます)TEL:080-4164-1359
Instagram : J,beat
ご予約時は |
---|
ご用命の際は「ストリートシック見た!」とお伝えいただければスムーズに対応いただけます。 |