Youtubeで車の動画やDVDなどを見ていると、「サスペンションが〜」とか「この車はダブルウィッシュボーンだから〜」と言う会話を自動車評論家の方や、有名なレーサーの方が口にしている光景を見ることがある。
新型車のカタログや愛車のカタログ、憧れのスーパーカーとかの事を調べたりしているとダブルウィッシュボーンやマルチリンクなどと言った記載がされてるが、内容を理解できる人は少ないのではないだろうか。一口にサスペンションと言っても沢山の種類があるがサスペンションとは、ドライバーの乗り心地や快適性を確保し安全性を担う部分である。
様々な用途の車たち
世界中には沢山のメーカーと車両が存在するが用途は様々だ。「街乗りや運転時の快適性を重視している車両」や「荷物を沢山積んで運ぶ車両」と「スポーツカー」など用途に応じてユーザーは車を選ぶ。メーカーも顧客の要望に応じて研究開発と実験やテスト走行を行い、世に自信と誇りを持って新しい車発表する。
スポーツカーの原点とも言えるニュル
ドイツにあるニュルブルクリンクサーキット北コース(全長20.832kmで別名ノルトシュライフェ)で「他社のスポーツカーよりもコンマ一秒速く走らせるため」に作られている車両も存在する。(最近の国産なら日産GT-R NISMOやレクサス LFA)
全ての車両がニュルブルクリンクを走る訳では勿論ないが、最近のスポーツカーやスーパーカーはニュルブルクリンクで走行テストを行いタイムを刻み他社の車両より自社が優れていて速い事を知らしめアピールポイントとしている。具体的な例を挙げるとしたら、日産R33スカイラインGT-RのCM「マイナス21秒のロマン」がわかりやすい。
それではサスペンションの種類やメリットとデメリットをご説明しよう。
サスペンションの役割
サスペンション(日本では懸架装置と呼称する)は路面の凹凸を吸収し、一定で変わらない乗り心地と操縦安定性をドライバーにもたらしてくれる。
乗用車には、製造時のコストが低いストラット式サスペンション(マクファーソン・ストラット式)が多く使われている。
乗り心地の向上やタイヤの接地感と車の姿勢の制御を更に細かく調整する目的でダブルウィッシュボーン式、そこから更に安定感を求めたマルチリンク式などがある。
と、ここまで来てしまうと混乱するだろう。
ストラット式(マクファーソン・ストラット式)
採用されている代表的な車種
*トヨタ スプリンタートレノ カローラレビン セリカ MR2
*日産 S13~S15シルビア 180sx A31セフィーロ C33~C35ローレル
*スバル インプレッサシリーズ
*三菱 ランサーエボリューションシリーズ
長所
部品点数が少なく軽量で生産時のコストを抑えられる。生産時のコストが抑えられるという事は新車時の価格も安くできる。
ストロークを大きくできる事と、スペースが広く取りやすい設計。
(カスタムで言うならば、車高が下げやすい)
短所
コーナリング中に本体に曲げの力が掛かる為、これにより規制がかかり、スムーズにストロークしなくなる。
これをキャンセルさせるのに、本体を傾けたりオフセットさせる方法がある。
サスペンションが沈んだ際にキャンバー角の変化があるので、タイヤの接地感が変わりタイヤのグリップが変わってしまう。
ダブルウィッシュボーン式
採用されている代表的な車種
*トヨタ スープラシリーズ チェイサー等のツアラーシリーズ ソアラシリーズ
*日産 Z34
*レクサス LFA
*ホンダシビックEG~ S2000
長所
サスペンションの剛性確保が容易になること。
ストラットと比べると、コーナリング中の力が本体に加わらない為安定したストロークができる。
タイヤが上下に動いた際のキャンバー変化が最小限に抑えられるのでタイヤのグリップ感と接地面積の変化が少ない。
乗り味の変更に対しての自由度が高い。
短所
構造が複雑で部品点数も多い為生産コストが高く、バネ下重量も重い。
車高を下げた際にアッパーアームが邪魔になる。
(カスタムして行くと車高を下げた際に制限が発生する)
マルチリンク式
採用されている代表的な車種
*日産R32~R34スカイラインGT-R R35 GT-R
フェアレディZ32~Z33
長所
ダブルウィッシュボーンと比べると快適性や操縦安定感が高い。
ダブルウィッシュボーンと同じ動きが再現出来たらリンク位置の自由性がある。
短所
開発費やメンテナンスコストが高い。
定期的にブッシュ交換などが必要になる為、メンテナンスコストがかかってしまう。
マルチリンクの場合は部品点数も多く、分解や組み直しの作業も時間を要してしまう。
(カスタムの場合は車高を下げて行くと制限が発生する。)
一長一短な足廻り
さて、説明を一通りしてみたがいかがだろう?
これだけではまだまだ理解はし難いと思う。
「じゃあ自分の愛車の足廻りはデメリットばかりか」となる方も居ると思うが、それは大きな間違い。
デメリットをどうやってアレンジしてやろうか?どうやって一つ一つを改善しようか?と好奇心を持って見直してみると、自分の視野が広がり、ますます車に魅了されるはずだ。
文章にすると悪いとこばかりに気を取られすぎてしまうかもしれないが、考え方によってそこに敢えて「楽しさ」を取り入れて行くと、技術者や開発者でも発見出来なかった「なにか」を見つける事も出来る素晴らしいチャンスにもなる。
自動車の歴史と世界の成長
こうして見ていくと、「同じ括りの自動車」でも、一つ一つが違って見える。自動車の歴史は、世界経済の成長や文明の発達と共にして進化を遂げて来た。
過去の開発者達の知恵、今までそこになくて理論の中にだけに存在していた物を形にしてきた。その先駆者に支えられた今の自動車文化があると考えるとなんだか感慨深い。
先駆者やメーカーの開発者と技術者に感謝と敬意を評し、今の時代で車を楽しむ私たちも未来の車好きに「クルマ文化のすばらしさ」を後世に残せたらと考えて付き合う。すると車との向き合い方が変わり、視野が広くなりちょっぴり有意義なカーライフが味わえるようになるはずだ。
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