FR車においてのデフの主な役割といえば、プロペラシャフトから伝えられた回転を、直角かつ左右のタイヤに分配することです。
ただ、デフだけだと路面の状況によっては、問題が発生してしまうのでノンスリップデフが必要になっています。
デフの役割について
エンジンからタイヤまでの回転の伝わり方を簡単に説明すると、プロペラシャフトからデフに入り、リングギヤ→デフケース→ピニオンギヤ→サイドギヤ→ドライブシャフト→タイヤといった順です。
デフには自動車が旋回時、左右のタイヤで転がる距離が異なるため、回転に差を発生させことでスムーズに旋回させる役割があります。
例えば、直進ではリングギヤが1000回転すると、左右のドライブシャフトは1000回転するとします。
デフによって旋回時、右のドライブシャフトが950回転になると左のドライブシャフトは1050回転となり、左右の平均回転数を維持することで、スムーズに旋回することができます。
デフの弱点を補うノンスリップデフ
ただ、デフには片方のタイヤがぬかるみなどにハマって空転してしまうと、ぬかるみにハマったタイヤは回転し続け、片方のタイヤに動力が伝わらなくなります。
https://youtu.be/UiQYg40lTKM?list=PLjjRfOKpDGmsglBZ8unp0wjNHHn6l77IG
このようなデフの弱点を補う機能があるのがノンスリップデフです。
ノンスリップデフには色々な種類がありますが、ビスカスカップリング式LSDと機械式LSDはよく使われるLSDです。
ビスカスカップリング式LSDは、いわゆる流体クラッチを使ったLSDです。
ビスカスカップリング式LSDの仕組み
ビスカスカップリング式LSDは、デフケースと一緒に回転するプレートとサイドギヤと一緒に回転するプレートが、シリコンオイルで満たされたケース内に入っており、デフケースが回っているにも関わらず、サイドギヤが回らないといった回転差が発生した場合に、シリコンオイルが発熱し膨張することで、プレートとプレートが張り付き、回転が伝わるようになります。
機械式LSDの仕組み
一方、機械式LSDには大まかに、デフ内にサイドギヤと一緒に回転するクラッチプレート、デフケースと一緒に回転するクラッチプレート、これらのプレートを押す機能があるプレッシャーリングが左右に配置されています(その他、スプリングプレートやスプリングディスクなども配置されています)。
アクセルオンやオフで、左右のプレッシャーリングがピニオンシャフトによって押し広げられることでクラッチプレート同士に摩擦抵抗が発生し、サイドギヤはデフケースと一緒に回転しようとします。
機械式LSDの作動方式
機械式LSDは、ピニオンシャフトの形状やピニオンシャフトを受ける部分のプレッシャーリングの形状によって、1way 1.5way 2wayに分かれます。
1wayはアクセルオン、1.5wayはアクセルオンがメインでアクセルオフは補助程度、2wayはアクセルオンとでアクセルオフで効きます。
ご紹介したように、ビスカスカップリング式LSDと機械式LSDは、車輪が空転するなど回転差が発生した際に効果があります。
特に、2wayの機械式LSDは、ドリフトでよく使われるようです。