取材をしながら彼の車に同乗し、彼が育った下町を案内してもらった。東京都内とはいえお世辞にも綺麗な街とは言えないが、それでも彼の口調から地元愛を感じた。
彼は最近、先輩の誘いでチームに参加した。「SENCISTS」というチームである。
センシストの車は車高の低いスタンスなスタイリングが特徴のチーム。活動は「ミーティングというかみんな仲のいい友達なので遊んだりしてます」との事。走行会やカーショウへの参加も行っている。
センシストは数十台から構成されるチームで大阪支部もあるという。「この前、初日の出を全員で見に行った」という言葉から仲の良いチームなようだ。
引き寄せる何か
彼のマシンとの出会いは洗車場で、はじめは「なんて低いスカイライン」と思った。彼は同じく、その洗車場でフロアマットを作る職人さんと出会いスカイラインのロゴの入った”世界でひとつのマット”を作ってもらっている。
気さくな人柄が人を引き寄せるのかもしれない。あるいは、ストリートではあまり見ることのない車高のスカイラインのせいか。
純正ルックのクリーンスタイル
エアロはJUN AUTOのリアウイング以外は何もついていない。フェンダーの叩き出しもなく、ローフォルムだけでER34の美しさをそのまま利用している。
ダブルウィッシュボーンはローダウンするのが難しい。(ダブルウィッシュボーンの詳細)その構造上、下げていくとすぐにボディが干渉してしまう。彼もまた然りで、このスタイルを確立するまでホイールを割ったり苦労をしている。フェンダーが純正の鉄板の為、タイヤとフェンダーの干渉などはホイールへのダメージに直結してしまうそうだ。
フェンダー内の干渉ポイントは多少加工しているが、それでもセッティングを出すまで時間がかかるのは避けては通れない。
ドライブ好きな彼が選んだセッティング
彼は3年で6万キロも走るほど車の運転が、とにかく好き。だからマシンのセッティングもそこに重きを置いている。
足回りはGReddyの車高調でバネレートはフロント18キロ、リア8キロ。ロアアームはYURA-MODEにて40mm延長をお願いし、延長によるタイロッドの長さ不足は同じくYURA-MODEの延長アダプターを使用している。
ダブルウィッシュボーンは車高を下げても、自然に”ハの字”を切らないがこれらの加工により7度半のキャンバー角をつけている。
「アッパー側を調整する事でもっとキャンバーが切れるんだけど…」「本当は17インチのホイールで、よりローフォルムを演出したい」とやりたい事はあるが、腹下の事を考えると妥協点は現状のセッティングのようだ。
その甲斐あって、この低さの車とは思えないほどガタツキ音もなくスムーズな乗り心地を実現している。もちろん事あるごとにアライメントは必須だ。
“時々フェンダーがタイヤを吸う事もあるけど”現状は満足。
ヘラフラへのセッティング
足元のセッテイング。ホイールがフロント10j+38(BLITZ)、スペーサーは15mm。リアはホイールが9.5j+20(MAX織戸のホイール)、スペーサーは20mmに5mのスペーサーを追加している。タイヤは215/35の通し。この設定で見事なツライチを演出している。純正ルックを追求する「叩き出しはしないの?」という問いは愚問だったかもしれない。
エンジン周り
走行距離が10万キロ後半を迎え、行きつけのショップに「エンジンやろうか」と言われ悩んでいる。多くの人が経済的な理由やモディファイの内容について悩むところだ。今のところ馬力や走りについては、さほどフォーカスしていない。
それでも吸排気、ニスモのデフ、小倉のクラッチ、クイックシフト、HPIのインタークーラーなど抑えるところは抑えている。特にRS-Rのマフラーは心地いいサウンドでうらやましく思う。
かけがえのないもの
「昔は筑波サーキットを走っていたけど、今は誰もがかっこいいと思える車を造りたい。その上でドリフトができちゃえば、かっこいいじゃないですか」
一般人にとっては、ただの派手な車としか見えないかもしれない。だが彼のライフスタイルにはER34との時間が大きなウエイトを占めている。
仕事があり、遅くなった日も「次は何をつけようかなとか考えてると楽しい」楽しくて仕方がない。週末にはセンシストの仲間たちと集まって夜ナ夜ナ戯れる。
これだけで十分だ。彼の居場所はそこにある。
この車両に関するデータ |
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所属チーム:SENCISTS 外装:JUN AUTOのGTウイング 足回り:GReddyの車高調、バネF18キロ、R8キロ ホイール:フロント10j+38(BLITZ)、リア9.5j+20(MAX織戸のホイール) スペーサー:フロント15mm、リア25mm タイヤ:215/35の通し 吸排気:RS-Rマフラー その他:HPIインタークーラー、ニスモのデフ、小倉のクラッチ、クイックシフト |