BC RACINGと言えばアメリカで絶大的な信頼を得ているメーカーであり、北米アメリカをはじめ、ヨーロッパ、アジアなど世界的に展開するグローバル企業でもある。最近で言えば、86にフェラーリのエンジンを積んでドリフトしている映像が話題になった、フォーミュラーDのライアン・トゥレック選手のスポンサーだったりする。
海外ではKWと並んでマストアイテムと言っても過言ではないBCのサスペンションだが、ほとんど広告を打たないのにもかかわらず、日本でも徐々に口コミで話題になっている。
そんなBC RACINGの林さんに「なぜ海外でBCが支持されているのか」その理由を聞いてみた。
アメリカ市場における日本車ブーム
BC RACINGは輸入車から日本車まで幅広いラインナップを持っており、フォロワーのカテゴリーも多岐に渡るが、今回は日本車とドリフトにフォーカスして話を伺った。
「アメリカではいわゆる日本のドリ車がものすごく人気があって、フォーミュラーDに出てるっていうのもあるんですけど。だいたい、そういったレースシーンでは2ウェイか3ウェイを使いますね。スプリングもスイフト製に変えたりして、かなりガチガチにセッティングを出してやってます」
日本では馴染みの薄い2ウェイ、3ウェイ
国産メーカーのラインナップでも「別タンク」として発売されているが、日本ではまだまだ馴染みの薄い2ウェイ、3ウェイ。いったいどういった構造なのか。
「通常、1ウェイの減衰力調節がついている車高調は、ダイヤルを回すと縮み側と伸び側の減衰力が同時に変わってしまうものがほとんど。
2ウェイは、縮み側と伸び側の減衰力を個別に設定できます。例えば、縮み側を一番柔らかくして伸び側を硬くするとか。3ウェイはこの縮み側、伸び側の低速域、高速域での反応速度(レスポンス)を調整する事ができます」
なるほど、レースシーンなど自分のアクションに対して車両の反応をつぶさにコントロールできるのは聞いていても面白そうだ。ちなみに2ウェイはタンクの裏にダイヤルが1つ付いており、3ウェイは2つ付いている。
BCはリピーターが多い。その理由は?
「ヨーロッパ、アメリカ、ロシアで合わせて月数万本出てます。特に最近出来たロシア支社では工場がパンクするほど加熱ぶりですね。アメリカではサーキットユース、ヨーロッパ、ロシアではJDMユーザー(シビックやアコードなど)にも人気です」
日本車のみならず、欧州車を中心とした輸入車ユーザーからも支持されているBCのサスペンション。支持されている理由はいかなるものか。ポイントは以下になる。
剛性重視の造り
「これはフロントが倒立式でリアが正立式になります。フロントを見てもらっても分かると思うのですが、単筒とロッドがものすごく太いんです。かなり剛性を重視しています」
テーパー状のロックシート
「皿(ロックシート)がテーパー状になってまして、角度を付けることによって一度締めると緩まない。普通はここが平らなので、取付時に車高調レンチで締め上げた上で、ハンマーで叩いたりするんですが、うちの場合はキュッと締めて終わりなので非常に楽です。
この形状になったのは理由があって、例えばアメリカのドリフトシーンや、ドイツのアウトバーンなどの路面状況は、日本と比べ物にならないくらい悪いんですね。だから緩むことが多くて、その対策としてこのような改良を行ってきました」
確かにショップで車高調を付けてもらうと「しばらく走ったらロックシートの緩みを点検してください」と言われたことがある。足回りなだけに絶対ではないだろうと疑ってしまうが、ほとんど緩まないとの事。
アッパーシートのベアリング
rd baseのチューナーである金本さんから実際に取付を行っている側の意見を伺った。
「うちではバネ鳴き(パキーンというはじき音)防止の為に、バネの先端をベルトサンダーで斜めに削るんだけど、BCはここ(アッパーシート)にベアリング入ってるからねじれないからいいよ」
筆者も「何の音?」と幾度も経験したバネ鳴き。走っていると突然パキーンと鳴る、あの金属音。BCのサスペンションはアッパーシートの中にベアリングが入っていて、ショックがねじれるとバネと一緒にベアリング回ってくれるので異音がでない。且つショックへの負担を軽減してくれるそうだ。
豊富なラインナップ
BCのラインナップは豊富で、走っているのを見た事がないようなマイナー車から国産車で言うとほとんどの車種をカバーしている。
過酷な環境で改良を重ねて成熟した商品
話はそれるが、お話を伺っていて意外な事に気がついた。海外では日本より商品に対するクレームが多いらしい。どちらかと言うと、細かい事は気にしないと思っていたがイメージと異なるようだ。
「車高調って基本的には消耗品なので、元々クレームが多いという性質があるんですが、海外でのクレームに対して改良を重ねていって鍛えられた製品なんですね」
聞いていると日本ではありえないような、理不尽なクレームもあるようだ。しかし、ユーザーからの声が届くと言うのはある意味、商品開発において重要な要素とも言える。
乗り心地について
では、月並みな質問で定義が難しい“乗り心地”についても伺ってみた。これはストリートユースの方々も気になる所。
「乗り心地は、ほとんどバネで決まりますね(人によって異なるので定義が難しいが)。あと減衰力調整が30段なので一番柔らかいのと硬いのとでは、全然別物の車高調ですね。モノが違うくらいの勢いで変わりますよ。
それから、街乗り重視であればゴム製のアッパーマウントで静音性を高めたり、走りでキャンバーを付けたい時はピロアッパーをつけてもらったり。ユーザーのステージ合わせて設定できるようにしています」
乗り心地に関しては人それぞれなので、予測の範囲であるがストリートユースで乗り心地を望む場合、バネレートを下げてゴム製のアッパーマウントを選択すれば「車高は下がったけど、乗り心地も程よい」セッティングが可能なのかもしれない。且つ全長調整式なのでストロークは確保したままだ。
気になる今後の展開
上記の通り、BCが海外で多くの支持を集める理由は確かにあった。日本でも口コミで広がっているのもうなずける。
また、SEMAショーやオートサロン出展といったプロモーションの他、フォーミュラーD表彰台常連者のスポンサードなど、クルマ好きとしてはその活動も気になる所。
それらを含めて、今後日本のストリート・サーキットシーンに、どのような波紋を起こすのか注目したい。
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